育成就労の受け入れ対象分野
育成就労と特定技能制度の受け入れ対象分野は、大きく変わりません。
厚生労働省が発表している「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧」から、確認してみましょう。
ただし、育成就労に関しては対応職種が減少します。
そのうえで、自動車運送業や鉄道、林業などは制度移行決定後、追加されています。また、受入人数が制限されている点も知っておきましょう
。在留資格に関して詳しく知りたい方はこちらから。
育成就労のメリット
ここでは、育成就労のメリットについてみていきましょう。
とくに、長期的なキャリア形成を行いたい場合、日本人と同様の人材育成の視点から取り組めるため、企業の財産になっていくといえます。
2024年3月更新「育成就労」について知りたい方はこちらから。
長期雇用と外国人のキャリア育成
技能実習制度と特定技能で従事できる業務内容は、同じではありません。
そのため、在留資格を移行する際に整合性が取れないケースも多いのが実状でした。
一方、育成就労は、特定技能の12職種に合わせるため、在留資格の移行がスムーズになります。
そのため、特定技能に移行した場合の業務のズレがありません。企業は長期的に外国人を雇用できるため、キャリアを築くことにもつながるといえるでしょう。
また、キャリアを上手く築けた場合には、これまでは示しにくかった育成就労からの自社のキャリアパスを示す、モデルケースを外国人向けに紹介するといった採用面でもアピールすることも可能です。
日本語能力のある外国人を雇用できる
技能実習制度では、日本語能力の水準が設定されていないため、実習中の日本語コミュニケーションに問題が生じており、問題が多く発生していました。
また、日本語実習の不足によって、特定技能1号や2号に移行する場合に苦労する場合も多いといえます。
とくに、2号試験については、以下2つの記事からすると合格率は決して高くありません。
試験の難しさに加えて、日本語の文章把握・理解能力は大きな課題です。
各分野の特定技能2号移行試験の受験者数と合格率とは。傾向と概要を解説(1)
各分野の特定技能2号移行試験の受験者数と合格率とは。傾向と概要を解説(2)
対して、育成就労では、一定の日本語能力が取得要件です。具体的には次のように設定されています。
- 就労開始前まで日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格する
- 相当の日本語講習を受講する(能検定試験基礎級など)
また、外国人の技能修得状況等を評価するため、受入れ機関として対応する必要がある点も知っておきましょう。
多様性のある働き方ができる企業と評価される
育成就労を活用することで、多様な労働力の受け入れを行っている企業として、評価されやすくなります。
多様な文化背景を持つ外国人労働者が増えることで、企業内の多文化理解が進むため、日本人も含めて働きやすい環境を構築しやすくなるでしょう。
しかし、採用コストの増加や教育・サポート体制の充実が求められるため、十分な準備が必要です。
適切なサポートを提供することで、優秀な人材の定着を促し、将来的な労働力不足の解消につながるといえます。
育成就労制度の今後
育成就労制度は、外国人労働者の立場からすれば、日本社会に深く根付くきっかけになると予想されます。
多様な文化背景を受け入れることによって、新しいアイディアの創出やリモートワークなどの働き方を取り入れる体制も作れるでしょう。
また、育成就労制度を活用することで、企業は安定的に労働力を確保できるようになります。
企業としても、様々な人材のキャリアやスキルアップを支援できる体制を構築する必要があるため、市場価値の高い人材を育成できるでしょう。
まとめ
前回に引き続き、技能実習生制度に代わる新制度「育成就労制度」について解説しました。
今後、受け入れ対象分野に関してはより、内容が精査・改善されていくといえるでしょう。
また、育成就労では、受け入れ企業も技能実習制度と比較して、日本語教育のサポート体制をしっかり構築する必要があります。
ただし、長期的な目線でみれば、コミュニケーション部分に悩むことは少なくなっていくと予想されます。
LTBでは、新しい制度や在留資格に関する情報を今後も発信していきます。
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