今回は2024年3月に出入国管理庁が公にした「育成就労」の続報について、触れていきます。そもそも育成就労とは何なのか、どう言った影響が外国人を雇用しようとしている、もしくは雇用している企業に影響が出るのか、人材確保が困難になるのかそれともその逆なのか、企業の人事目線で詳述していきます。
育成就労とはそもそもなんですか
1993年にスタートした技能実習制度の「悪しき点を改善した」後継制度と言えるでしょう。現行制度と今後の改正点についてまとめると、悪しき点
- 技能実習生が日本に来る前に母国で、将来就くであろう技能実習として行う作業訓練と日本語教育を施す「送出機関等」によって、高額な手数料を支払うために借金をしなくてはならなかった。
- 借金を抱えた技能実習生にとって劣悪な環境での労働に対して選択肢がなく、また、転職もできなかった。
- 転職ができないために、失踪せざるをえなかった。
- 借金を返すために日本で不法就労をせざるをえない状況も生んでいた。
改正点としては、
- 送出機関についてMOC(二国間協定を政府間で)作成し、悪質な送出機関を排除。多額な借金を外国人労働者に負担させない仕組みを目指して行くことでしょう。
- 転職が可能なケースは2つ。
- やむをえない事情がある場合。
- 育成就労外国人が本人の意向として転籍したい場合。転職(転籍)は、分野ごとに1〜2年経過後可能。
- 最初に育成就労外国人の受け入れを行なった企業が、受け入れにあたり費用負担が発生していれば、相応の補填が受けられるような仕組みを検討中。
となります。補足として上げるとすると、止むをえない事情とは、企業側による整理解雇や人員整理といった会社都合のケースではなく、育成就労外国人から見て、採用前に提示された「労働条件」と実際働いてみて感じた「労働条件」に差異が大きく、育成就労外国人の申し出により転職を希望する場合となります。なお、企業側の整理解雇や人員整理による、会社都合の育成就労の退職については、人材不足で人手を確保する状況にはないと判断され、向こう1年〜5年受け入れを認めないなどのペナルティが科されることも添えます。
育成就労は転職(転籍)ができるって本当ですか?
このパートでは、育成就労外国人の自己の都合による転職(転籍)について詳しく触れていきます。転職は一定期間経過後は転籍は可能となります。無闇矢鱈に転職を許すのではなく、育成就労外国人が働くことを期待されている、特に人手不足の「特定分野」の範囲内での転職が可能となります。さらに、育成就労外国人が一定のレベルに達していないと本人の意向による転職は認めない方向で検討が進められています。つまり、
- 転職先は現状の職種(分野)と同じでなければならない
- 転職するためには
- 分野ごとに定める日本語レベルがA1~A2相当
- 分野ごとの技能検定試験基礎級等の合格
- 就労期間が1〜2年経過していること
- 転職先が育成就労計画の認定を受けられること
の大枠4つの要件を満たすことが必要となってきます。
日本語能力検定(JLPT)との比較表です。JLPT換算では、N5~N3程度レベルとされています。
育成就労が終わっても継続して雇用できますか?
育成就労期間原則3年が終わると、同じ特定分野の範囲内で特定技能1号への繰り上がりが認められ、特手分野によって異なるもの特定技能1号として2〜5年経過後には、試験要件、日本語要件、業務スコープ要件により、特定技能2号への移行も可能となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今まで技能実習生を主戦力として頼りにしていた企業も多いのではないでしょうか。国の狙いとして、我々企業側にも、育成就労外国人に長く働いてもらえる環境を提供していきましょうということが明確に示唆されているとも言えるのではないでしょうか。LTBでは企業の皆さんの外国人雇用の不安が少しでも減るよう、お問い合わせに対応しております。
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