外国人は在留資格で働ける種類の仕事が決まっている
2023年12月現在、29種類の在留資格、特定活動においては49種の活動許可(一部は削除)があります。
コロナの影響により特別措置でさらに複雑になっている在留資格とその活動許可(行っていいい活動を在留資格の内容で細かく定めています)。
知らないうちに不法就労にもつながらないとも限らないため、外国人が身近におられない方は、人手不足で困っていても自社の応募に外国人が来たら『とりあえずやめておこう』とか『働かせていいかどうかわからない』といって迷ってしまことが多くないでしょうか。
ここでは「雇う側の立場に立って」それぞれの在留資格について詳述して行こうと思います。
なお、在留資格のうちあまりに特別すぎて普通に面接にくる可能性が低いこと、さらには採用して働かせるには在留資格に書かれているその職種ではないといけないこと、その種類が判りやすいため次の在留資格については触れないこととします。
ここでは、在留資=ビザという意味として取り扱っていきます。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
外交官の家族は公用の在留資格で在留しています。当社へも公用ビザを保有している方やビザを保有していない方(公用ビザを交付しなくていも良い国があるため)からも問い合わせがあります。水際対策としてこう言った方と面接などで会う場合、パスポートを必ず確認するようにしてください。なお、特に注意が必要なのは大使館等で家事手伝い等をしている「特定活動」ビザです。自国の公館での家事手伝い以外はできないことになっているため、必ずパスポートの「指定書」を確認しましょう。
就労系の在留資格(ビザ)
日本で働くことを目的として在留を許可される資格です。中華料理店やインド料理店で働いている厨房スタッフは「技能」ビザで、外国人が社長や役員等で日本で働く場合は「経営・管理」ビザで在留しています。
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
名称を聞いただけで、働ける職種がイメージつくでしょうか。医療や教育、介護などは想像しやすいかもしれません。
技術・人文知識・国際業務ビザは略して技人国ビザとも言われ、留学生が日本で大学等を卒業して大半がこの在留資格で就労していますし、彼らが最も希望するビザです。
ですが、一体どんな仕事を任せていいのか判別できません。出入国管理及び難民認定法には、「〜理学、工学その他の自然科学の分野若しくは、法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事〜」と記載されています。さて、なんのことやらというのが正直な感想かもしれません。
「営業や経理、ITエンジニア等オフィスワークをメインとした仕事」と考えましょう。この在留資格については、外国人本人の学歴や就く仕事により個々の判断が必要になることが多いこと、そしてその判断の幅が広く一概に「大丈夫」とは言えず、審査官ごとの判断によるところも多分にあります。
とはいえ、現業つまり、現場の仕事は基本的にはNGという理解が肝要です。
新卒で留学生を雇用される予定の企業には今後の注意点として、ご本人の了解を得て「課税証明書・納税証明書」を取り付けておいたほうがいいかもしれません。理由は学生時代にダブルワークなどで就労制限週28時間を超過して働いているかどうかがおおよその判別がつき、いざ在留資格を変更し許可が得られないということを防げる可能性があります。
身分系の在留資格(ビザ)
身分に基づく在留資格とも言われています。この在留資格を持つ外国人は選挙権がないだけで就労制限等は一切ありません。
- 日本人の配偶者等
- 永住者
- 定住者
日本人の配偶者等になぜ「等」がつくのか。それは、日本人の子として生まれた方もこの在留資格を持っています。
正確には「本人が生まれたときに」「父母のどちらか」が日本国籍を有するか、「本人が生まれる前」に「父が死亡し」「父が死亡時に日本国籍を有していた」場合も含まれます。
さらに、本人が生まれた後、「父母のどちらか」が日本国籍を離脱しても、日本人の子であることに変わりはないとしています。
なお、日本人の特別養子も含まれます。
その他の在留資格(ビザ)
働くことを目的としていない在留資格のほか、法務大臣が個別に指定する活動のみができる在留資格である特定活動ビザがあります。
働くことが目的ではないために時間に制限がある在留資格
- 留学
- 家族滞在
留学、家族滞在は広く知られている在留資格かもしれません。原則、就労は週28時間までとされており、本来の在留資格が就労を認めていないことから「資格外活動許可」というスタンプが在留カードの裏面に押してあります。
さらに、留学生の場合、学則に定める長期休暇(夏休みや冬休みなど)は週40時間まで就労が認められています。家族滞在にはこの規定がないことは注意しておきましょう。
働くことができない在留資格
- 研修(役務/労働の対価として報酬を貰わないことになっています。)
- 文化活動
- 短期滞在
働く内容に制限がある在留資格
- 特定活動(法務省が告示しているもの)
特定活動は2023年12月現在49種類の活動許可がありますが、取り扱い等が変わることにより、削除されることもあります。
先述した公館の家事手伝い人もこの在留資格で日本に在留しています。よく知られるのはEPA(看護師や介護福祉士)、ワーキングホリデー、難民申請中、いわゆる就活中のほか、日本の4年生大学等を卒業し、日本語能力検定N1に合格すると申請が可能な46号など、幅広く活動許可が網羅されています。
特定活動のうち、法務省が告示していない特定活動があります。面接で出会いやすいケースを挙げます。
- 就職活動を行っていた留学生が就職活動を継続するための活動
- 難民申請中の者
1は、パスポートに貼付のある指定書を確認することで、週28時間までの就労が可能であったり、風俗営業等の従事を除くことがわかります。(在留カードの裏面にも同じ記載があります。)
2は、難民認定を望む外国人が一定の条件のもと就労が可能になるもので、同じように指定書を確認することで就労の可否がわかります。
参考:指定書ってなんですか?
いかがでしたでしょうか。在留資格の種類が多岐に渡ること、そして、在留資格によって活動(働いて良い職種や時間)が変わることがお分かりいただけたのではないかと思います。
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