全業種共通の日本語教育のレベルと学習の進め方
特定技能2号を取得するためには、最低でもJLPT(日本語能力試験)のN3レベル、場合によっては※N2レベルの日本語力が必要です。
そのため、企業としても次のような施策の実施ができる体制構築を行っておく必要もあります。
- スキルチェック:週1回、業務に関連する日本語テストを実施し、理解度を確認
- 自己評価:1日の業務終了後に、自分の対応力や理解度を振り返る
- フィードバック:上司や同僚からの指導を受け、弱点を克服する
ここでは、学習プログラムを3つのステップに分け、それぞれの段階で習得すべきスキルについてみていきましょう。
※N2レベルは条件としては設定されていないものの、専門性が高い分野であり、 将来的にリーダーや役職となる場合には必須の 日本語レベルです。
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初級レベル(JLPTN4~N3相当)
初級レベルでは、日常生活や職場で最低限必要な日本語を学ぶことになります。
とくに、「聞く力」と「話す力」の向上に重点を置き、シンプルな業務指示を理解できるようにすることが大切です。
たとえば、以下のような単語から学習をスタートするとスムーズでしょう。
- 配送業であれば「荷物」「伝票」「積み込み」などの単語
- 建設業であれば「足場」「鉄筋」「コンクリート」などの専門用語
仮に、外国人材が配送センターで「この荷物を〇〇番の棚に積んでください」と言われたとしても、言葉を正しく理解できなければ作業が滞る可能性があります。
しかし、「荷物(にもつ)」「棚(たな)」「積む(つむ)」といった基本的な語彙を習得していれば、指示を受けてスムーズに行動可能です。
また、この段階では、日本語の基礎文法や基本的な漢字の読み書きを身につけるとともに、仕事に関連する基本的な単語やフレーズを学ぶことが重要です。
効果的な学習方法は以下のとおりです。
- フラッシュカードを用いた語彙学習(視覚的に単語を覚えやすくする)
- アプリを活用した発音練習(HelloTalk、LingoDeerなど)
- 簡単な会話を繰り返し練習するロールプレイ(職場での挨拶や指示の受け答え)
中級レベル(JLPTN3~N2相当)
中級レベルでは、仕事に必要な指示の理解や簡単な業務報告ができることを目指します。
職場での円滑なコミュニケーションを促進するために、業務関連の専門用語を深く学び、文章の読解力を向上させることが目標です。
たとえば、以下のような内容を把握できれば、中級レベルの日本語力は十分にあるといえるでしょう。
- 製造業であれば、「〇〇の製造ラインで部品の取り付け作業を実施。不良品は2点発生し、上長に報告済み。」といった形で日報に記録する
- 配送業では「〇〇番の荷物を△△社に納品。受領サイン確認済み。」というように業務の詳細を正確に記載する
- 建設業では「作業内容」や「重点ポイント」を齟齬がなく理解し、書ける。「資材運び、その後○○工区にて組立て」など
作業日報や業務マニュアルを理解するために効果的な学習方法は以下のとおりです。
- 作業マニュアルの読解トレーニング(仕事で使用する実際の資料を使う)
- ロールプレイを活用した報告・連絡・相談の訓練(現場での会話を想定)
- 視覚教材(動画や写真付きマニュアル)を使って学ぶ(実際の作業風景を見ながら学習)
上級レベル(JLPTN2~N1相当)
上級レベルでは、「業務全体を理解し、リーダーや管理者として指導・報告ができること」を目指します。
日本人とのスムーズな意思疎通が求められるため、状況に応じた適切な表現を身につけることが不可欠です。
たとえば、建設現場で「今日の作業は予定通り進んでいますか?」と確認されたとしましょう。
その質問に対して「午前中にはコンクリート打設が完了し、午後は○○工区の鉄筋の設置を行う予定です。予定通りの作業で問題ないでしょうか?」といった進捗状況を正確に報告できる必要があります。
特定技能2号に関しては、リーダーとしての役割が必須となるため、トラブル時の報告もできるような学習を行いましょう。
上級レベルの効果的な学習方法は以下のとおりです。
- ケーススタディを活用したトラブル対応訓練
- 業務マニュアルの詳細読解とディスカッション
- 模擬会議やリーダーシップ研修
まとめ
外国人材を採用した場合、日本語が堪能な場合を除いて日本語教育が必要となります。
そのため、 人材として外国人を採用する場合には、自社の教育フローや在留資格を確認しつつ、 手続きや教育を進めていきましょう。
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