特定技能2号に向けた日本語学習スケジュール事例
ここでは、「6カ月の学習期間を定めた」と仮定した場合の日本語学習スケジュールについてみていきましょう。
今回は建設業に特化した日本語学習スケジュールについて焦点を当てていきます。特定技能1号に合格している場合は、基礎や業務に必要な単語はある程度話せると予想されます。
しかし、どのように学習を進めていけばいいのかわからない場合は、知っている単語や専門的な知識レベルの把握からスタートすることが重要です。
1か月目:日本語の基礎理解
学習目標は、職場での基本的なコミュニケーションを目指して、日本語の基礎を習得することです。
とくに、挨拶や簡単な質問への受け答えなど、日常的な会話力を身につけることをめざしましょう。
学習内容の事例
挨拶としては、「おはようございます」「お疲れさまです」など。自己紹介や日常会話、基本的な業務用語の「荷物」「工具」「伝票」「安全帯」など、業務に関連する単語も含む。
2か月目:業務に必要な語彙習得
2か月目の学習では、職場での作業を円滑に進めるために、業務関連の専門用語を覚え、指示やマニュアルを理解できるようにします。
学習内容の事例
- 建設業であれば「足場」「鉄筋」「型枠」「安全確認」など、現場作業に必要な語彙を学習する
評価方法は単語テストが良いでしょう。習得した業務用語を正しく理解し、適切に使用できるか確認することが大切です。
3か月目:作業指示の理解
現場での指示を正確に理解し、適切に対応できるようになることを目指しましょう。
作業中にわからないことがあれば、自ら質問して確認する力も育てることが大切です。
学習内容の事例
- 指示の理解:「この部材を〇〇工区に移動してください」「〇〇を使用し○○工区で作業を進めてください」といった業務指示を理解する訓練を行う。
- 作業中の会話:「次は何をしますか?」「この作業は終わりましたか?」など、現場で頻繁に使うフレーズの習得。トラブル発生時の「○○が原因で作業が進みません」という言い方も合わせて学習する
- マニュアル活用:外国語業務手順書を作るか動画にして、作業の進め方を理解してもらう
評価方法としては、OJT(On-the-JobTraining)を行う中で、作業指示に正確に従って業務を遂行できるかを現場の指導者が評価する方法が簡単です。
4か月目:報告・連絡・相談の徹底
学習目標は、日々の業務の進捗を把握し、問題点を上司に報告できるようにすることです。
また、チーム内での情報共有を円滑に進められるコミュニケーションを身に付けることをめざしましょう。
学習内容の事例
- 日報記入: その日の業務内容、進捗状況、問題点を記録する練習
- 口頭報告: 作業終了時や異常発生時に、上司や同僚に状況を説明
- 相談: トラブルが発生したときに、適切な言葉で支援を求める訓練
たとえば、建設業の日報報告時で、「○○工区が予定より進んでいないようにみえます。
明日の作業は予定通りでよいでしょうか?問題がある場合は、△△工区の鉄筋配置を行います」などと報告できれば十分な日本語レベルだといえます。
評価方法は、ロールプレイや口頭での作業内容の確認テストなどを実施し、フィードバックを上司から受ける方法などが考えられます。
5か月目:問題解決力の強化
学習目標は、「作業中にトラブルが発生した場合に、日本語での適切な対応ができる」ことを目指しましょう。
そのため、外国人材の日本語での問題解決スキルを強化します。
学習内容の事例
- トラブル対応: 事故や破損、作業遅延など、現場で発生しやすい問題に対して迅速に対応する
- 質問と確認: わからないことがあれば、上司や同僚に質問して、正しい解決策を見つける
- 状況説明: 問題発生時に状況を簡潔に伝え、解決に向けた行動を取れる
たとえば、建設業でトラブルが発生した場合、「○○工区で○○という状態になっています。対処できますか?また、私ができることはありますか?」といった聞き方ができれば問題はないでしょう。
実際に問題が起きてから、訓練するのではなく、模擬ケーススタディを実施するだけでも効果があります。
シナリオに沿って適切に問題を報告・解決できるかを評価しましょう。
6か月目:評価試験対策と最終確認
特定技能2号の試験に向けた仕上げを行い、実践的なスキルと知識を最終確認します。
専門スキルはある程度保有している外国人材が多いため、問題となるのは専門知識に対する日本語の理解力になります。
学習内容の事例
- 模擬試験: 実際の特定技能2号試験を想定した筆記・口頭試験を実施。
- 総復習: これまで学習した語彙やフレーズ、文法を復習し、ロープレなどで実務に即した会話力を磨く
- 実務演習: 実際の作業を想定したOJT形式で、実践力を最終確認する
建設現場で「資材が不足している」と報告を受けた場合、「現状で資材が〇〇個不足しています。追加の発注をお願いします。
また、明日の作業では○○が必要ですが、必要分ありますか?」と日本語で指示を出せたり、相談できたりする状態が好ましいといえるでしょう。
評価方法としては、模擬試験を実施し、筆記テストと口頭試験のスコアで理解度を確認することが大切です。
たとえば、製造業では「特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト」にサンプル問題が置いてあるため、日本語の理解度に対する現状把握もしやすいでしょう。
まとめ
本記事では、外国人材の日本語教育プログラムについて解説しました。
今回は6カ月の期間としましたが、1年や2年といった期間でも問題はありません。
計画性をもって、日本語教育を実施していければ、日本語の理解度によって特定技能2号に不合格となるケースは少なくなるといえます。
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