外国人を雇用する場合、国が提供している助成金または補助金を利用できます。
本記事では、外国人雇用で利用できる助成金と補助金について、それぞれの違いや申請方法について解説します。
助成金と補助金の違いって何?
外国人を雇用する際に利用できる助成金と補助金は、それぞれ管轄している機関が異なります。
- 助成金:雇用の安定化をはかるためや、研究開発の促進を促すことを目的としています。助成金は受給要件を満たしていれば、大半の場合、支給されます。管轄機関は、厚生労働省です。
- 補助金:主に企業の成長をサポートすることを目的としています。補助金は一定の予算が決まっているため、受給人数の上限によって支給期間が早めに終了する場合もあります。 管轄機関は、経済産業省です。
なお、助成金、補助金は、受給された金額に対して返済が不要です。
助成金と補助金の申請方法
厚生労働省の助成金を利用する事業所は、雇用保険に加入している必要があります。
また、申請する助成金の種類によって要件が異なりますので、各種、対応して下さい。
なお、申請に必要な書類や申請方法については、専門の社会保険労務士に依頼して手続きを行いましょう。
外国人雇用で利用できる助成金について
外国人を雇用する際に利用できる助成金について、以下を解説します。
- 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
- 雇用調整助成金
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
- 人材開発支援助成金(特定訓練コース)
- キャリアアップ助成金(正社員化支援・処遇改善支援)
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人を雇用する際に、外国人社員が、日本の労働基準法や雇用に関するルールについて知識不足であったり、言語の違い等から事業主との間でトラブルが生じるケースがあります。
「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行って、外国人労働者の職場の定着をはかるために、事業主に対して支給される助成金です。
主な受給要件については以下の通りです。
- 外国人労働者を雇用している事業主であること
- 認定を受けた就労環境整備計画に基づいて、外国人を雇用管理すること
- 就労環境整備計画期間が終了した後、一定期間を経過した後は、外国人労働者の離職率が10%以下であること
受給額については、受給要件を満たした事業所に対して支払われます。
- 賃金要件を満たしていない場合:支給対象経費の1/2(上限額57万円)
- 賃金要件を満たす場合:支給対象経費の2/3(上限額72万円)
※支給対象経費:通訳費、翻訳機器導入費、翻訳料、弁護士、社会保険労務士等への委託料金、社内標識類の設置・改修費
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、経済上の理由によって事業の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に必要な費用として利用できる助成金です。
主な受給要件については以下の通りです。
- 雇用保険に加入している事業主であるこ
- 売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること
- 雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと
- 実施する雇用調整(休業・教育訓練・出向など)が一定の基準を満たすこと
受給額については、対象労働者1人あたり8,490円が上限です。(令和5年8月1日現在)
また、教育訓練を実施した場合は、1人1日あたり1,200円が加算されます。
事業主の負担した金額に対して、助成率を乗じて算出されます。
- 中小企業:休業手当相当額(賃金相当額)×2/3
- 中小企業以外:休業手当相当額(賃金相当額)×1/2
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
安定的な就職が困難な求職者に対して、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間、試行雇用した場合に支給される助成金です。
求職者の早期就職の実現や雇用機会を作るために設定されています。
主な受給要件については以下の通りです。
- 雇用保険に加入している事業主であること
- ハローワークや職業紹介事業者等に紹介された後、一定期間に試行雇用していること
- 原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
- 1週間の所定労働時間が、原則として通常の労働者と同程度であること
受給額については、支給対象者1人につき月額4万円です。対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円です。
人材開発支援助成金(特定訓練コース)
従事する業務に関する専門知識・技能取得のための訓練に必要な経費に利用できる助成金です。
受給要件は、訓練実施計画を作成して、訓練の開始日の1か月前までに管轄の労働局へ提出することです。
受給額については、中小企業で200時間以上の訓練を実施した場合、最大で50万円が受給できます。
キャリアアップ助成金(正社員化支援・処遇改善支援)
非正規雇用の労働者のキャリアアップを促進するために、企業が改善する取り組み(正社員化、処遇改善)を実施した事業主が利用できる助成金です。
主な受給要件については以下の通りです。
- 雇用保険に加入している事業主であること
- コース実施日の前日までに「キャリアアップ計画」を作成し、提出すること
※コース:正社員化コース、障害者正社員化コース、賃金規定等改定コース、賃金規定等共通化コース、賞与・退職金制度導入コース、短時間労働者労働時間延長コース
※受給額については、実施するコースによって異なります。
外国人雇用で利用できる支援制度
経済産業省が管轄する外国人雇用のための支援制度について解説します。
- 製造業外国人従業員受入事業
- 外国人雇用管理アドバイザー制度
- 国際化促進インターンシップ事業
製造業外国人従業員
受入事業外国にある事業所の従業員が、在留資格「特定活動」を取得し、日本国内の生産拠点で働きます。
日本の企業で専門技術を身に付けた後、海外の事業所に戻って日本で身につけた技術を外国の事業所に普及させることを目的としています。
外国人雇用管理アドバイザー制度
外国人労働者の雇用管理の改善や職業生活上の問題などについて、専門的な知識や経験のある「外国人雇用管理アドバイザー」が、各事業所の実態に応じた相談・指導を行います。
ハローワークで無料相談で利用できます。
国際化促進インターンシップ事業
日本の中小企業が留学生インターンとして受け入れる事業です。
インターンシップ方法については、①国内留学生の対面参加型、②海外在住人材のオンライン参加型、③海外在住人材の対面参加型(来日)の3つのコースから選ぶことができます。
まとめ
外国人を雇用する際は、外国人労働者が安定して働き続けることができるように助成金など国の支援を利用すると雇用管理がスムーズになり、費用負担も軽減できます。
外国人雇用で利用できる助成金または補助金については、厚生労働省、経済産業省が公表している情報をチェックして、雇用管理に役立てると良いでしょう。
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