外国人アルバイトの源泉所得税は居住者かどうかである程度決まる
結論からいえば、外国人アルバイトも日本人アルバイトも源泉所得税は発生するものです。
ただし、日本人の場合は、平均で8万8,000円を超えた場合のみ、源泉徴収の対象となります。
日本人の場合の源泉所得税は100万円までは10.21%と決まっています。
外国人留学生をアルバイトで雇用する場合も所得税法上のルールに従って、源泉徴収を行う点は同様です。外国人に対する所得税は、以下のように決まっています。
- 「非居住者」の場合は一律で20.42%
- 「居住者」の場合は一律で10.21%
しかし、所得税法によって、以下のように対象者が「居住者」・「非居住者」のどちらになるかによって対応が異なります。
前提として「非居住者」は、雇用が難しいケースが多く、仮に労働させてしまった場合には罰則を受けることになるため、採用面接の際は在留カードを確認しましょう。
『居住者とは、日本国内に「住所」があるか、または現在まで引き続いて1年以上「居所」がある個人をいいます。日本の居住者に該当するかどうかは、国内に住所または居所があるかどうかという判定が必要となります。』引用|国税庁|居住者と非居住者の区分|https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
たとえば、外国人留学生の場合は、日本に1年以上住んでいれば「居住者」として扱います。
仮に、1年未満であれば「非居住者」として扱うことになるでしょう。
外国人アルバイトの税額外国人アルバイトが「居住者」の場合は、日本人アルバイトと同じように所得税の計算をします。たとえば、外国人アルバイトと日本人アルバイトが月間で給与所得25万円となった場合は、どちらにも差はありません。
また、留学生アルバイトは、労働時間が1週間に28時間以内であるため、仮に時給1000円で毎週28時間働いたとしても、1ヶ月の所得税は数千円程度になります。
外国人アルバイトを雇用する際の注意点
ここでは、外国人アルバイトを雇用する際の注意点についてみていきましょう。とくに、在留資格が同一であってもどの国から留学生が来ているのかを把握することが大切です。
租税条約による免除国を把握する
居住地国と源泉地国で、二重課税や脱税防止のために国家間で租税条約が締結されているかどうか確認が必要です。
締結している国の外国人留学生の場合は、給与の源泉所得税が免除されます。
詳しくはこちらから確認してみましょう。
たとえば、国税庁の「学生のアルバイト代」のページでも解説がありますが、中国やタイ、マレーシアなどそれぞれの条約を把握したうえで対処すれば問題ありません。
この事例でも中国とインドの留学生では、適用される法律が異なり、インドの留学生は居住者か非居住者かを明確にする必要があります。
租税条約を結んでいる国が気になる場合はこちらから。
雇用する外国人留学生の居住年数は必ずチェックする
在留資格認定証明書や在学証明書などから確認しましょう。
また、学生であったとしても専門学校や日本語学校は該当しません。
学校教育法第1条に規定されている学校かどうかも確認する必要があります。
仮にチェックできない場合には、事業主は不法就労助長罪に問われる可能性があります。
3年以下の懲役または300万円の罰金、あるいはその両方が課せられるため、厳密なチェックを行いましょう。
勤労学生控除の内容は把握しておく
勤労学生控除とは、アルバイトをしながら学校に通う学生に対して、税負担を軽減する制度です。定められた条件を満たせば、所得控除が受けられます。
- 勤労による合計所得金額が75万円以下で、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下の場合
- 給与所得のみを受け取っている場合で、収入金額が130万円以下となっている。ここから、給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となる(令和元年分以前は、給与の収入金額が130万円以下の場合、給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となる)
- 特定の学校の学生、生徒(学校教育法に定める高校や大学、専門学校など)
所得税の免除を受ける際の手続き
外国人アルバイトに対して所得税の免除を希望する場合は、雇用する会社が租税条約の届出書を作成することになります。
作成後は税務署に提出しましょう。
提出書類は以下になります。
- 外国人留学生の在学証明書など
- 訓練や事業に関する修習者である場合は「訓練受講証明書」「事業等修習者証明書」など
- 交付金の受領者である場合は「交付金受領証明書」など
各国の法律によって、免税対象となる居住年数、所得が異なるため、外国人留学生の出身国の規定については必ず確認しましょう。
届出書の提出期限は、入国してから外国人留学生に初めて給与が支払われる日の前日までです。
まとめ
外国人留学生をアルバイト雇用する際は、それぞれの国との租税条約に従って、所得税の免税の適用があるかどうか確認しましょう。
雇用する学生の出身国や在学中の学校によって、対応が異なるため、厳密にチェックしなければなりません。
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