少子高齢化に伴い、人手不足の企業では外国人の雇用が増えています。
日本で働く外国人数は、2022年には1,822,725人と過去最高を更新しています。
さて、外国人のいる職場や学校など、外国人の方との交流が増えていく中、長く日本で住むことができる外国人に向けて、日本国籍が取得できる「帰化」という制度があります。
本記事では、外国人が取得できる「帰化」について解説します。
外国人社員を雇用している会社の方は、外国人が日本に長く滞在するには「帰化」という方法もあることを知っておくことをおすすめします。
帰化とは
帰化とは、外国籍の方が日本国籍になることです。
日本では二重国籍を認めていないため、日本国籍を取得した後は、元の国籍は離脱しなければなりません。
帰化するということは、在留資格を取得することではなく、日本人になるということになります。
日本人になるということは、日本国民と同じような権利が与えられるということです。
永住権との違い
帰化と永住権を比較してみましょう。
永住権は、日本の在留資格のひとつで、「永住許可」と言います。
永住権は、在留期間の制限がなく、職業の選択も自由です。
原則として10年以上日本に在留していることや、日本の法律に違反していないこと、その他、永住許可取得の要件を満たすことが必要です。
永住権と帰化の大きな違いは、日本国籍の有無です。永住権は、日本に永続的に滞在できる在留資格で国籍の変更はありません。
一方、帰化は、日本国籍を取得することが条件になります。
帰化のメリット
では、帰化することでどんなメリットがあるのでしょうか?
- 日本のパスポートになります。帰化すると日本国籍になるため、同時にパスポートも日本のものになります。日本のパスポートはビザなしで入国できる国が多いので渡航しやすくなります。
- 日本の戸籍に入ることができます。外国籍の方は法律上、日本の戸籍に入ることができませんが、帰化した後は、日本人と同じように戸籍を作ることができます。
- 日本名を持つことができます。日本国籍になったら日本名を名乗りたい方もいらっしゃいます。帰化申請をする際に、日本名取得の申請を同時に行います。
- 参政権が与えられるので、選挙権と被選挙権を得ることができます。
- 国家公務員の試験を受けて、公務員として働くことができます。
- 銀行での融資が受けやすくなって住宅や車のローンが組みやすくなります。
帰化の注意点
帰化をするということは、今までの国籍を手放すことになります。
国籍が変わることで、どんな変化が伴うのか、申請する前にしっかり受け止める必要があります。
もし、帰化した後に、元の国籍に戻したい場合は、手続きが複雑で難しくなりますので注意しましょう。
また、日本国籍になると、母国へ渡航する際にビザが必要になる場合もあります。
日本パスポートで入国できる国であれば問題ありません。
帰化の手続き
帰化申請をする際は、かなり膨大な書類を準備する必要があります。
また取得要件を満たしている必要があります。
帰化の取得要件は以下の通りです。
- 日本に継続して5年以上住んでいること(場合によっては条件が緩和される)
- 年齢が18歳以上であること
- 素行が善良であること(税金の滞納がない、交通事故や交通違反歴がない、犯罪歴がない)
- 生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけること(本人には収入がなくとも、家族に養ってもらっている状況でも認められる傾向がありますが、時期によって変わる傾向があります)
- 帰化によってそれまでの国籍を無くすること
- 日常生活に支障のない程度の日本語能力(会話・読み書き)があること。
- 暴力団体との関係がないこと帰化申請では、必要書類を入国管理局に申請した後、面接を行い審査が通ると法務局で帰化届などの手続きを行います。
まとめ
帰化は、日本に長く滞在している外国人が、日本国籍を取得できる制度です。
国籍を変更するということは、個人にとって慎重に考えたい手続きです。
一方で、日本に住む外国人が益々増えて、「帰化」を希望する外国人は増加傾向です。増加しているからといって、帰化を認める傾向が高まっているわけではなく、法務局としても慎重に判断しているといっていいでしょう。
もし、雇用している外国人と「帰化」について話題に出た場合、本記事の概要を知っておくと、外国人と日本について考える機会ができるでしょう。
いかがでしたでしょうか、「帰化」とは、シンプルに「外国人が日本人になる」ことだとご理解いただけましたでしょうか。弊社では企業の皆さんの心配が少しでも和らぐことを願って、私たち自身が10年間貯めてきたノウハウを詰め込んだ資料をプレゼントしています。ぜひダウンロードしてくみてださい!