改正入管法わかりやすく解説
2023年入管法が大きく改正されました。外国人を雇用している企業、もしくはこれから外国人雇用にトライしようという企業の担当者の皆さんに、どのような影響がありそうかわかりやすく解説していきます。難民の概要がサクッとわかります。
そもそも難民とは?
難民には2つの種類があります。1つ目は難民として認定された外国人、2つ目は難民の申請をしている外国人です。難民として認められるためには、難民の申請をしなくてはなりませんが、難民として認められない外国人は難民申請中として日本にとどまっています。
どのような外国人が難民として認められるかですが、難民の申請は入管法より、「日本国内にいる外国人は(〜中略〜)誰しも難民を申請することができる」としています。入管法には「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」としており、日本にいる外国人で、母国に戻ると迫害の危機にさらされる外国人がいつでも申請できると解釈できます。
難民の申請をして、入管における慎重な審査の上認定を受けた外国人が、認定された難民になります。ただし、難民認定数は国際社会から非難を受けていることから分かる通り、相当少ないというのが現状です。
項目/年 | 2006~2010 | 2011~2015 | 2016~2020 |
難民申請数 | 5,959 | 20,258 | 55,333 |
難民認定 | 201 | 83 | 181 |
難民認定を受けている外国人の国籍と、申請をしても認められなかった外国人の国籍を見ていくこととしましょう。2016~2020年の間に難民の認定を受けた国籍は、コンゴ民主共和国20名、中国17名、エチオピア12名などと続きます。一方、申請があるものの認定されない国はどういった国でしょうか。申請数が大きいものから、フィリピン7,296名、ネパール6,337名、スリランカ6,615名と続きます。
参考:難民申請数と難民認定推移
入管法改正の大まかな説明と背景
2023年の入管法改正では、3回目の難民申請を認めず、日本から退去していただくことが決まりました。資料や推移から今回の法律改正の背景として見えてくる、そして当社も年間1万人近くの外国人と面していて肌で感じることとしては、かなり多くの割合の外国人が安易な難民申請をしてしまい、そのこと自体が本当に難民として認めてもらうべき外国人を圧迫してしまっているのではないかと考えています。さらに、これは外国人と対面してきた経験からの実際例を挙げられればと思います。
- 留学生として学費を払えなくなったため除籍された。難民申請をすればたくさん働けると知り、難民申請をした。
- 観光ビザで日本に入国し、難民申請をすれば働けると知り、難民申請をした。
非常に残念ですが、留学生も観光ビザでやってきた外国人も本来であれば「出稼ぎ」をしたいところ、働く時間が週28時間に限定されているとか、そもそも就労を認めてもらえないから観光ビザで入国して、働くために難民申請をしているという実態が大半を占めるのではないかと考えます。
企業側としてやっておいたほうが良いこと
ここでは、難民の制度の是非や本来は難民申請すべきではないなどの議論は傍に置き、難民申請中の外国人を雇用している、もしくは採用面接しようとする企業の担当者の皆さんには、ぜひ、2つのことを実践してほしいと思います。
- 特定活動という在留資格をもち、「自身が難民です」という外国人を雇用しているもしくは面接・採用しようとしている場合、必ずパスポートも確認してください。
- そして、雇用後は必ず在留期限に注意し、期限が切れる前に更新が終わりそうか、もしくは強制退去になりそうか確認してください。
パスポートには指定書が貼付されています。その指定書の「活動の内容」に「本邦に在留し難民認定申請又は審査請求を行っている者が行う、本邦の公私の機関に雇用されて行う報酬を受ける活動」と記載があれば雇用して差し支えありません。
指定書を詳しく知る「指定書って何ですか」
いかがでしたでしょうか。当社では外国人雇用にトライする、もしくは外国人の方が活躍する職場に関わる皆さんに、少しでも外国人雇用に対する不安が和らぐことを願い、外国人雇用に関する資料をプレゼントしています。是非、ダウンロードしてみてください!