自動車運送業における特定技能の概要
自動車運送業における特定技能制度は、2024年に特定技能1号の試験が開始されました。
2号試験の開催は決まっていません。
ただし、 トラックドライバーも含めた配送業界全体の労働人口は300万人未満であることから、慢性的な人手不足の状態です。
そのため、特定技能2号試験の開催はいずれ期待できるといえるでしょう。
自動車運送業で特定技能1号を取得する場合、 特定技能試験だけでなく、運転免許と日本語能力が求められます。
そのため、永住者や 定住者といった在留資格と普通免許をもっていても、「業務内容に応じて新たに免許を取得する」、「海外で取得した免許を切り替える」といった会社のサポートも必要です。
項目 | 内容 |
業務区分 | 事業用自動車(トラック、バス、タクシー)の運転および運転に付随する業務全般 |
必要な資格・免許 | 業務に応じた運転免許(例:中型自動車免許、大型自動車免許、第二種運転免許など) |
技能水準 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験の合格 |
日本語能力水準 | 日本語能力試験(JLPT)N4相当以上の日本語能力 |
在留期間 | 最長5年(更新可能) |
受入れ見込み人数 | 制度開始から令和10年度末までの5年間で最大24,500人程度 |
地域を支える多様性──ある外国人ドライバーの挑戦
ある中堅物流会社では、日本人の採用が難しい状況になり、2024年の12月に、複数名のフィリピン出身の外国人材を特定技能1号を前提として、外国人ドライバーとして迎え入れています。
来日前からオンラインで業務研修と日本語学習を受け、日本に到着してからは、数か月の研修と生活サポート付きで中型免許の切り替えを完了しました。
その後は、BtoBルート配送の業務に配属されました。配送先は外国人労働者が多く働く事業所も多く、外国人材の英語と日本語のバイリンガル能力が活かせています。
業務内容は、荷物の積み込みや点検、配送、日報記録、簡単な対話まで幅広く、日本人社員と比べても遜色ないレベルの業務遂行が可能です。
日本語によるコミュニケーションのトラブルも起きていません。
また、会社では定着支援の一環として日本人社員によるメンター制度を導入しました。
住居探しの手伝いや病院の案内、文化的なマナー研修など、きめ細かい支援が行われています。
取り組みは、企業内にとどまらず、地域の物流環境全体にも波及しました。
外国人ドライバーが安定的に稼働できるようになったことで、人手不足による配送遅延が解消され、地場企業や商業施設の物流がスムーズとなりました。
とくに地元の中小企業からは「配達時間が安定した」「臨機応変な対応が可能になった」といった評価の声が上がっています。
地域にとって「頼れる運び手」が増えたことで、物流の質と信頼性が向上したといえるでしょう。
制度の可能性とこれからの課題
特定技能1号によって外国人材の採用が自動車運送業でも現実的な選択肢となったといえます。
制度の活用が進む一方で、企業側にも新たな責任が求められています。
たとえば、言語・文化の壁や免許取得支援、生活インフラの整備など、多方面からのサポートが不可欠です。
また、現行の制度では「特定技能2号」への移行が配送業では認められていないため、5年での契約終了が前提となります。
しかし、制度の拡充によって、今後は外国人材のキャリア形成と業界の持続性がさらに高まる可能性があります。
免許取得と更新への支援体制
配送業では、業務内容によって、普通自動車免許から中型・大型免許までさまざまな免許が必要です。
とくに、都市部やラストワンマイル配送では、普通免許(AT限定含む)で対応できる小口配送業務も多く、外国人材の入り口として活用できるでしょう。
しかし、どのような業務であっても以下のような対応が必要であるため、企業がサポートする必要があります。
- 海外免許の切替サポート:外国で運転経験がある人材に対して、日本での免許切替手続きを案内・同行
- 教習費用の補助:教習所での費用負担が大きいため、企業が一部もしくは全額を補助する
- 語学対応の教習プランの紹介:日本語が不安な人には、多言語対応可能な教習所を紹介する
在留期間と免許の有効期限管理も重要です。
更新忘れを防ぐために、企業側でスケジュール管理・リマインド体制を整えましょう。
日本語教育と業務マニュアルの整備
外国人ドライバーが配送業務を安全かつ正確に遂行するためには、業務に特化した日本語教育と視覚的に理解できるマニュアルの整備が欠かせません。
とくに現場で必要とされる言語表現や報告手順を体系的に習得することを目指しましょう。
具体的には以下の取り組みが有効です。
- 業務用語に特化した日本語研修 ・運行指示や納品確認、荷主とのやりとりに使う定型表現の習得 ・報連相に関する言い回し(例:「破損があります」「本日休業でした」など)の定着 ・ロールプレイやクイズを活用した実践的トレーニング
- 視覚に訴えるマニュアルの整備 ・車両点検、積み下ろし、日報記録などを図解・写真付きで解説 ・ピクトグラムや色分けを使って、直感的に理解できる構成に ・多言語併記(例:日本語+英語+ベトナム語)での展開も有効
- eラーニングや動画教材の活用 ・実際の業務風景を使った字幕付き映像による学習 ・スマホでも視聴可能な教材を整備し、業務の合間にも学習できる環境を提供
施策の実施によって、言語の壁を超えて業務理解を促進できます。また、教育負担の軽減やミスの防止にもつながるでしょう。
まとめ
外国人材の登用は、深刻な人手不足に直面する配送業界の新たな解決策として注目されています。
そのうえで、特定技能1号制度の導入によって、運転免許と日本語能力を持つ外国人が正式に就労可能となりました。
ただし、企業は、免許取得支援や日本語教育、生活サポートといった包括的な受け入れ体制を整える必要があります。
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