日本に滞在する外国人数が増えている中、不法滞在や不法入国などで退去強制の対象となる外国人も増加傾向にあります。
退去強制となった外国人の中には、人道的配慮によって在留が認められる場合もあります。
在留特別許可は、他の在留資格の取得要件のような明確な審査基準は無く、厳しい審査を経て最終的に法務大臣が許可/不許可を決定します。
本記事では在留特別許可とは何か?申請の流れと申請の注意点、雇用が可能なのか?解説します。
在留特別許可とは
在留特別許可とは、退去強制の対象となる在留外国人に対して、法務大臣が特別に与える在留許可です。
在留特別許可が付与されるのは、不法滞在、不法残留、犯罪歴などの強制退去事由に該当する外国人です。
在留特別許可の審査
基準在留特別許可の審査は、はっきりとした基準は公表されていませんが、「在留特別許可のガイドライン」では、以下のポイントが示されています。
- 在留を希望する理由
- 家族状況
- 外国人本人の素行• 国内・海外の諸情勢
- 人道的な配慮の必要性
- 我が国における不法滞在者に与える影響
在留特別許可の流れ
在留特別許可の手続きの流れについて概要を紹介します。
- 入国管理局へ出頭します。法令違反について申告し、必要書類を提出します。
- 提出書類をもとに、入国警備官が外国人本人の違反調査を行います。
- 提出書類の確認と外国人本人の事情聴取を行い審査します。
- 審査の結果、「容疑あり/容疑なし」のいずれかで判定されます。
- 「容疑なし」と判定された外国人は、在留が認められます。 「容疑あり」と判定された外国人は、収容施設へ送還または出国命令が出されます。
- 収容施設へ送還された外国人は、仮放免の手続き後、一時的に収容が免除されます。
- 収容施設へ送還後、入国管理局で違反調査が行われます。
- 違反調査の結果、在留が認められる、または退去強制で異議申し立て、または出国命令のいずれかになります。
- 審議に意義申し立てがある場合は、特別審査官へ口頭審理の請求を行います。
- 特別審査官の審議に不服がある場合は、再度、意義申し立てを法務大臣あてにします。
- 法務大臣によって在留特別許可または国外退去強制のいずれかに決まります。
在留特別許可の注意点
在留特別許可を申請する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 在留特別許可の申請から結果が出るまでは、平均して1年以上かかります。審議のステップが厳しく行われるため、かなりのスタミナが必要になります。
- 本来なら退去強制となる外国人が、特別に在留許可を求める手続きになりますので、 必ず在留が認められるという確信はありません。最終的に退去強制になることを踏まえて申請することが必要です。
- 在留特別許可の申請は、代行人では認められていません。必ず本人が出頭して手続きを行うようになります。ただし、外国人本人のみでは難しい必要書類の準備や申請方法などは、行政書士に相談しながらサポートしてもらうことは可能です。
- 既に収容所に送還されている外国人が在留特別許可の申請をすることは可能です。
- 在留特別許可は、以下の人道的な配慮によって認められるケースもあります。
- 日本人・永住者・特別永住者と結婚している• 日本人・永住者・特別永住者と結婚を予定している
- 日本人の子供を養育している• 外国人の子供を養育し、子供が日本の学校に通っている• 疾病などにより日本で治療をする必要がある
- 不法就労助長罪、集団密航に係る罪、パスポートの不正交付の罪、反社会性の高い違反をしている外国人は、許可されにくくなります。
在留特別許可の外国人は雇用できるのか?
在留特別許可を申請中の外国人は雇用できません。本来ならば退去強制の立場であるため、雇用は難しくなります。
日本の会社が外国人を雇用する場合は、外国人が就労できる在留資格(就労ビザ)を取得していることが条件です。
在留特別許可は、在留資格を持っていない(不法入国、不法滞在、犯罪歴がある)外国人が、法務大臣に、在留できるように特別に認めてくださいと申請中である状況なので、日本でアルバイトや就職はできないようになっています。
ただし、もともと退去強制の立場であったけれども、在留特別許可が認められて、就労できる在留資格を取得した外国人は、日本の会社で雇用することはできます。
まとめ
在留特別許可は、退去強制の外国人が、特別に日本に在留できるように申請できる手続きです。
許可されるまでには、1年以上の待機期間があり、その間は働いたりすることは認められていません。
ただし、最終的に許可された場合は、「在留資格認定証明書交付申請」をして、日本で活動ができる在留資格を取得することができます。
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