そもそも彼らに忠誠心はあるのか
外国人を雇用する際、雇用企業によくご質問を頂く内容で、ある意味触れずにおこうとか、一部そんなことを彼らに求めるなんてとタブー視されて、放って置かれているかもしれません。
敢えて今回は、このロイヤルティについて触れていこうと思います。
果たして外国人労働者に忠誠心は宿るのだろうか、これは有るとも無いとも言えるかと考えます。
例えば、出稼ぎ留学生とも揶揄されている、本来の目的である留学を主としてではなく、仕事をしに来日している外国人は、その殆どが母国の家族へ送金するためや、来日するために借り入れた借金返済のため、出稼ぎに来ているから、例えバイトで雇っても、すぐ時給や待遇のいいところに移ってしまう、雇用している側の人情やなさけを無視していると言った言葉も聞かれます。
忠誠心は培うもの
弊社が創業から7年、今まで経験してきた数々の例を紐解くと、どうもロイヤルティが無いと外国人だけが責められるべきでは無い可能性はあるように考えています。彼らを、特に技能実習生は一時期国会にも取り上げられましたが、安価で代替可能な部品としての労働力としてとらえた場合、雇用する側がいくら忠誠心を強く求めたとしても、あまり良い反応は得られなさそうです。
ステレオタイプのわな
また、国ごとおおよそ性格的な特徴が影響するからとか、文化的な背景からウチはこの国籍とは相性がいいが、他の国は合わなかった、と言う意見も散見されます。
日本人が、外国に行った場合にも、やはり同じような尺度で見られているわけですが、短期間観光等でその様に評価されている場合には、皆さん気になさらないかも知れません。
実際、自分がその国に住んで、仕事をして、地域のコミュニティと交わるとき、日本人はこうだからと、通り一辺倒で決めつけられるのは、誰しもそれぞれの個を無視されるようであまり心地の良いものでは無いような気がします。
私たちがこういった話をするとき、よく事例として、初めての外国、ニューヨークのスタバでバイトを始めたご自身を想像しませんか?と、お願いをしています。早口の英語で怒鳴るようにモーニングコーヒーをオーダーする金融街に出勤する客、もたもたおじおじしていると一気にクレームに繋がりそうで表情も対応も固くなっていく自分。同僚からは、あいつ日本人だから真面目なんだけど、スマイルが足りないんだよなと指摘されてしまう。
だいぶ脱線してしまいました。では、彼らの中に忠誠心やロイヤルティを醸成していくためにはどうしたら良いでしょうか。
ここまで読まれた皆さんはお気づきかもしれません。
相手は人格も個性もある人間であり、雇用者側も労働者側も、一定の尽くすべき礼儀があって然るべきで、日本人の新卒学生に施すような教育、研修、配慮と言った同じ土台に乗せた上で、彼らにどうなって行って欲しいのか、会社はこう言ったことを期待していると伝え、チームを醸成していくことが、どうやら必要な気がすると、私たちは感じています。
つまり、国籍や文化的背景は一定程度、あるものとして解釈しながらも、一つの人間としての個と如何に関係性を築いて行くのか、の方が重要性が高いと考えています。
向き合い方の一考
ここまでお話をしてきて、そうは行っても絵空事だろうとご指摘を頂くのでは無いかと思います。
私たちも、彼らにとっては一つの自己主張なだけであるのに、ある意味日本人的な過保護とも取れる親切心から、一から十まで手取り足取り支援をしてしまい、恩を返さずいなくなるというような手痛い裏切りにあったと感じてしまう場面が多々ありました。
私たち日本人は苦手かもしれませんが、ご自身の利益を損ねてまで、彼らに没頭せず、先ずは出来ることと、できないことを仕分けしては如何でしょうか。
もしくは、ただひたすら与えるというような過保護な自立を促さない支援に、対価は支払われないと予め理解しておくのも良いかもしれません。
私たちの事例
偉そうなことを言って本当にうまくやっているならその話聞いてもいいとご指摘をいただくかもしれません。私たちはまだまだ弱小の小所帯ではありますが、外国人33%、ハーフ33%、日本人33%のチームです。私たちのミッションが外国人との共生を掲げているため、チーム仲間では私たちのあり方自体へ理解を得られ、結束しやすいことは感じています。ですが、おそらく最も大切なことは彼らが同じチームの仲間であるという帰属意識、そして彼ら自身の個に対する自己効用感を感じてもらうという個の尊厳ではないかと考えています。