はじめに
在留資格「特定活動」の外国人を雇用検討しているが、何を確認したらよいのか?雇用する場合に気を付ける点は何か?と疑問に思っている事業者の方も多いでしょう。
そこで、本記事では、在留資格「特定活動」の外国人を雇用する場合の留意点について詳しく解説していきます。
特定活動とは?
「特定活動」は、現存する在留資格に当てはまらない活動をする場合に、法務大臣が、個々の外国人に付与する在留資格です。現在、法務大臣が告示している「特定活動」は46種類あります。これら活動は、日本と世界の社会状況に影響されるため、時期や情勢によって許可されない場合や活動自体が無くなって現在は機能していない資格もあります。
特定活動で雇用する場合のチェックポイントは?
在留資格「特定活動」で外国人を雇用する場合は、以下の2点をチェックしましょう。
- 在留カード
- 指定書
在留資格「特定活動」の在留カードの確認
在留カードは、日本に3ヶ月以上滞在する外国人に交付されるIDカードです。在留外国人の日本での身分証明書になり、外国人本人が日本に在留できるための活動範囲や在留期限、本人の情報が記載されています。
在留資格「特定活動」は、日本で許可されている活動が40種類以上ありますので、まずは、就労の可否と自社業務と外国人の活動範囲が適合するかどうか、在留カードの内容から判断することが必要となります。
「特定活動」の在留カードの確認方法
在留資格「特定活動」の外国人を雇用する際は以下の2点について在留カードを確認しましょう。
- 「特定活動」の表記を確認する
- 「指定書に より指定された就労活動のみ可」の表記を確認する
在留カードの表面の【在留資格】の欄に「特定活動」と記載されているか確認します。もう一つは、同じく表面の【就労制限の有無】の欄に「指定書に より指定された就労活動のみ可」と記載されているか確認します。
この2点が記載されていれば、外国人の在留資格が「特定活動」であることの確認ができます。
では、この「指定書に より指定された就労活動のみ可」の「指定書」とは何か?続けて確認していきましょう。
「指定書」とは?
在留資格「特定活動」では、個々の外国人の活動範囲に対して活動許可を定めています。この活動範囲について記されている文書が「指定書」です。「指定書」は、外国人のパスポートに添付されています。
在留資格「特定活動」は、活動内容によって就労の可否が決まっているため、就労できる「特定活動」であるかどうかについては、この「指定書」を確認することが重要となります。
在留資格「特定活動」の外国人の在留カードには、必ず「指定書に より指定された就労活動のみ可」と書かれているので、在留カードの確認と一緒にパスポートに添付されている「指定書」の内容を確認しましょう。
「指定書」の確認方法
在留資格「特定活動」の外国人を雇用する際は以下の2点について指定書を確認しましょう。
- 指定書と在留カードの内容を確認する
- 指定書に押してあるスタンプを確認する
まずは、外国人のパスポートに「指定書」が添付されているか確認します。次に、氏名と国籍・地域欄に書いてある内容が、在留カードの記載内容と同じであるかチェックします。次に、氏名と国籍・地域欄の下に、外国人が許可されている活動範囲について書かれているので、雇用する業務内容に適合するかどうか確認します。
もう一つは、指定書の下部に押されているスタンプの日付と最新の在留カードの発行日があっていることもチェックが必要です。
「指定書」がない場合はどうする?
「指定書」が確認できない場合は、外国人に「就労資格証明書」を提出してもらうと良いでしょう。
「就労資格証明書」について
「就労資格証明書」については、法務省のホームページでは以下のように説明されています。
- 就労資格証明書とは、我が国に在留する外国人からの申請に基づき、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(以下「就労活動」といいます。)を法務大臣が証明する文書です。(入管法第19条の2より)
外国人を雇用したい場合は、対象となる外国人が日本で就労する資格があるか否かについて事前に確認が必要です。
このときに本人確認できる文書として「就労資格証明書」を利用することができます。
「就労資格証明書」の申請方法は?
地方出入国在留管理庁にて、申請人本人、代理人、申請人本人の法定代理人、取次者が申請手続きができます。必要書類は以下の項目を確認しましょう。
なお、交付を受けるときは1,200円が必要です。(収入印紙で納付)
※必要書類
- 就労資格証明書交付申請書
- 資格外活動許可書(提示)
- 在留カードまたは特別永住者証明書(提示)
- パスポートまたは旅券又は在留資格証明書(提示)
- パスポートまたは在留資格証明書を提示できない場合は、その理由書
- 身分証明書(提示)
就労不可の外国人を雇用した場合は?
在留資格「特定活動」は、さまざまな活動内容によって分類されており、さらに活動の条件が就労可/不可に分けられます。
もし、「特定活動」で就労不可の外国人を雇用してしまった場合は、以下の罰則が科せられるケースもありますので注意しましょう。なお、罰則の対象は、雇用した事業者と外国人本人の両方になります。
※罰則
- 不法就労助長罪で最長3年の懲役、最大300万円の罰金
したがって、在留資格「特定活動」で外国人を雇用する際は、「在留カード」と「指定書」の確認が重要となります。
まとめ
在留資格「特定活動」で外国人を雇用する際は、外国人が日本で認められている活動範囲と就労の可否について、在留カードと指定書を照らし合わせてチェックすることが必要となります。「特定活動」は、他の在留資格のように一つの活動範囲に要件が定まっていないため、雇用する際は、対象となる外国人のみの情報を細かく確認するようにしましょう。