全12分野の特定技能1号外国人の人数
出入国在留管理庁が公表している、2024年6月時点の特定技能1号外国人の人数は、251,594人です。
中でも、以下の分野は、日本国内で人手不足が深刻な分野でもあります。
分野 | 人数 | 人手不足の理由 |
介護 | 36,719人 | 高齢化社会の加速、労働環境 |
工業製品製造業・飲食料品製造業 | 114,246人(44,044人+70,202人) | スキル不足、育成不足 |
建設 | 31,853人 | 労働環境、労働者減少 |
特定技能1号の中で介護のみ、特定技能2号への移行はありません。
在留資格として「介護」があり、「介護」は資格として介護福祉士を取得すれば移行できるためです。
ただし、特定技能の他は、介護福祉学校への留学や技能実習が必要となる点は知っておきましょう。
加えて、介護福祉学校の場合はN2以上の日本語能力が必須であり、留学試験でも合格する必要があります。
各分野の正確な人数はこちらから。
人手不足が激しいとされる製造業と建設業の現状
ここでは、製造業と建設業で人手不足となる理由についてみていきましょう。
近畿経済産業局 製造産業課が発表した「ものづくり基盤産業の人手不足解決手法の検証について」では、製造業の労働人口は1,045万人となっています。
また、国土交通省が発表した「建設業を巡る現状と課題」における建設業の労働人口は、建設業は479万人でした。
どちらの産業も決して多い労働人口ではなく、若者から避けられる傾向にあります。
製造業で人手不足となる理由
製造業で人手不足となる理由についてみていきましょう。
- レガシーシステムを使っている企業が多く 人手に依存した生産体制となっている
- スキルや資格を保有し、責任のある立場となっても労働環境の改善が難しい(キャリアパスが見えづらい)
- 機器に加えて教え方が古く、若者やスキルのある人材に環境がなじまない
製造業は、労働環境としてデジタルやITによる業務革新やシステムの刷新が遅れている点が労働人口の減少に拍車をかけています。
また、キャリアパスが見えづらく、優秀な人材ほど転職を検討しがちな環境になりやすい点も課題だといえるでしょう。
建設業で人手不足となる理由
建設業で人手不足となる理由は次の3点が挙げられます。
- 労働者の高齢化
- 業界イメージの改善不足
- キャリアパスのイメージ共有・整備不足
企業によっては、生産性の低下や利益向上を目指して、技術革新に取り組んでいるケースもあるものの、 建設業界全体では生産性は高いと言いづらい状況にあります。
また、就業環境の改善もまだまだ進んでいません。
外国人採用も含めた人手不足解消の考え方
日本国内の多くの産業は、少子高齢化と労働力不足の影響を強く受けているといえるでしょう。
そのため、日本人だけでなく外国人の採用も視野に入れていく必要があります。
適切な受け入れ体制の構築や日本語教育の支援、コミュニケーションの強化が肝心です。
ここでは、外国人採用を含む人手不足の解消に向けた具体的な考え方を整理し、持続可能な解決策についてみていきましょう。
労働環境の改善
労働環境の改善は、従業員が長く働き続けられる環境を整えることが大切です。
労働時間やモチベーションが課題である場合は、長時間労働を削減し、従業員が計画的に休日を取得できる制度構築が大切です。
たとえば、建設業における週休2日制の導入や適切な工期設定は、モチベーションと生産性を向上させます。
働き方を見直すことで、離職率の低下や企業の魅力向上も期待できるでしょう。
また、ストレスチェック制度を定期的に実施し、従業員のメンタルヘルス状態を把握する方法も効果的です。
カウンセリングの提供や相談窓口を設置することで、業務効率の向上や離職防止につながります。
設備機器のDX化と生産性向上
設備機器のDX化と生産性向上を図る場合は、IoTやAIの活用を検討しましょう。
IoTは、さまざまな設備や機器にセンサーを設置し、インターネットを介して随時情報を収集・管理する技術です。
たとえば、設備の状態をモニタリングし、温度や振動の異常値を早期に検出することで、故障の発生を未然に防ぐことも可能です。
また、センサーで倉庫の在庫量を監視し、自動的に発注することで在庫切れや過剰在庫を防げます。
RPAを活用すれば、定型的な業務を自動で行うことが可能です。
たとえば、領収書確認や会計システムへのデータ入力を自動化することで、経理担当者の負担を軽減することもできるでしょう。
また、経費精算をRPAで処理することで、手入力のミスが減るため、処理速度も向上します。
外国人採用を検討する
外国人採用を検討する場合は、最終的には長く働くことのできる特定技能2号を目指しましょう。
永住権を取得できるだけでなく、日本人と同様に企業の今後を担う人材となれる可能性が高いためです。
特定技能は、特定の産業分野で人手不足を補うために導入された在留資格です。
特定技能1号では、製造業や介護、建設など14分野で就労でき、一定の専門知識と日本語能力が求められます。
また、いずれ廃止となりますが、技能実習制度も2024年の段階では活用できます。
技能実習期間が終了した後、希望者は特定技能ビザへ移行することで、長期的な雇用が可能です。
たとえば、技能実習を終えた労働者が特定技能ビザに移行し、建設現場の即戦力として活躍するケースなども増加しています。
建設業に関する在留資格と作業について詳しく知りたい場合はこちらから。
まとめ
日本の労働人口は、時が経てば経つほど減少していきます。
労働環境の改善や機器・設備の刷新が進んだとしても、人材が充足する可能性は高いとはいえません。
そのため、採用の選択肢に外国人を検討してみましょう。
LTBでは、各産業分野を対象に、外国人を雇用する場合に必要な情報を提供しています。
また、初めて外国人を採用する際のお悩みもサポートしています。
外国人の採用や仕組みについて迷っている場合は、LTBまでお気軽にご相談ください。