建設投資額に対する就業者数の傾向
過去5年の建設投資額に対する就業者数は、次のようになります。
西暦 | 建設投資額 | 就業者数 |
2020年 | 63兆1,300億円 | 492万人 |
2021年 | 62兆6,500億円 | 482万人 |
2022年 | 66兆9,900億円 | 479万人 |
2023年 | 70兆3,200億円 | 483万人 |
2024年 | 73兆200億円 | 485万人 |
※2023年3月発表の国土交通省「建設業を巡る現状と課題」、総務省統計局「労働力調査 (基本集計)2024年(令和6年)7月分」、「令和6年度(2024年度) 建設投資見通し 概要」参照
建設投資額は増加傾向にあり、建設業のニーズは向上しているといえるでしょう。
しかし、就業者数は増加傾向にはなく、2023年3月発表の国土交通省「建設業を巡る現状と課題」では、55歳以上の割合(77.6万人)が35.9%となっています。
そのため、今後10年で引退・退職する人々が増加するため、生産性の維持・適切な工期による工事の実施が難しくなる可能性が高い状況です。
つまり、今後、人材確保・育成に注力しなければ、事業継続が危うい企業が多いといえるでしょう。
建設業における外国人の受け入れ状況と人材不足の現状
国土交通省の「建設分野における外国人材の受入れ」によると、2022年の段階では11万6,789人でした。
建設業における全体の就業者数が約480万人程度であることから、外国人の比率はまだまだ低い状況にあるといえるでしょう。
高齢化が進んでいても、ノウハウや技術が承継できていれば、業界としてスキルや生産性が低下するような状況は避けられます。
しかし、現状では、スキルやノウハウを伝えきる前に多くの技術者が引退すると想定されます。
また、2024年4月時点で、国土交通省は2040年までを目標に、3割の省人化と1.5倍の生産性向上を目的とした「i-Construction 2.0」も発表しています。
AIやIT技術によるDX化ではなく、オートメーション化(自動化)がテーマとなっています。
そして、現状では、オートメーション化に必要なスキルや知識を持っている日本国内では少ないという状況です。
より詳しい建設事業者の状況や従事者の平均年齢はこちらから。
外国人材が建設業に必要となる3つの理由
ここでは、外国人材が建設業に必要となる3つの理由についてみていきましょう。
とくに、日本国内ではスキルを持った人材が足りなくなっていくことが予想されます。
そのため、技能実習生や特定技能などの在留資格を持つ外国人材の育成が求められる状況になっています。
人材不足は深刻化していく
建設業界は、入植者よりも退職者数が多い状況です。
仮に、労働環境の改善や待遇の変化が進んでいったとしても、入職者の増加が続くような状況になるまでには、時間がかかるといえます。
また、技能を持つ人材の退職によって、若年層の育成にも悪影響を及ぼしている状況です。
AIやIT技術によるDX化が進んだとしても、最終的に管理する人材も不足していくと予想されます。
IT・AIを使用できる人材が今後必須になる
大手ゼネコンでは、IT・AIを使用した施策がすでに実施されています。
また、DXを意識した人材育成も進んでいる状況です。
しかし、リテラシーが高くなったとしても、人材不足が続けば、教育を行うためのリソースを確保するのが難しい状況になっていく可能性も否定できません。
長期的な視点からの人材育成を見直せる
日本人も含めて、長期的な視点から人材育成を見直す必要があります。
「見て覚える」のではなく、企業として研修やトレーニングなどを通じ、数十年単位で活躍できるスキルや能力を伸ばしていくことが大切です。
たとえば、人材育成の計画に合わせて、以下のような取り組みなどが実施できれば。中小企業にも効果があるといえるでしょう。
- 外部講師を招き、IT技術やAIをスムーズに使用できるスキルを習得する
- 半年や1年といった期間ごとに明確なキャリアパスを示しながら業務に従事してもらう
- 外国人材も含めて自社に必要なスキルや能力を説明しつつ、管理者としての考え方や視点を共有するプラットフォームや情報共有手段を提供する
外国人材は技能実習生からスタートし、特定技能1号から2号へと移行可能です。
とくに、2号としての就業を前提にすれば、日本人と同様にITやAIを活用したBIMや安全点検、ドローンを活用した測量といった職務を実施してもらうこともできるでしょう。
特定技能外国人1号に関する詳しい情報はこちらから。
制度活用事例からみる外国人材の可能性
ある建設会社では、入職者が減少し続けていることから、外国人の受け入れを開始しています。
技能実習生からスタートし、特定技能1号・特定技能2号と在留資格を変更しています。
今では、日本人も含めて指示や指導ができる立場となり、今後も末永く活躍してくれる体制を築けました。
一定のスキルや能力を獲得するまでに時間が掛かるのは、日本人も同様です。
そのうえで、日本国内の労働人口は今後も減少し続けると予想されています。
そのため、外国人材を採用し、事業継続を行うケースも増加しています。
また、外国人材に対しては、日本語教室の定期的な開催や食事会も含めたオリエンテーションを行うことで、スムーズな業務の実施につながっているといえるでしょう。
まとめ
建設業における入職者は、減少傾向です。
一時的に増加するケースもあるものの、長期的にみれば、建設ニーズに応えられる事業者は限られていくと予想されます。
そのため、自社の状況を冷静に判断し、人材不足の解決策として、外国人を採用するといった動きを行う事業者も増加している状況です。
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外国人の採用や仕組みについて迷っている場合は、LTBまでお気軽にご相談ください。