仕事がなくなる、なくなる…
この一年、私たち日本人だけではなく、外国人もたくさんのものを失ったり、楽しみを奪われたり不自由で理不尽なときを過ごしてきました。
今回、私たちは一年を振り返って、緊急事態下で今後外国人にどのような情報を伝えていくべきか、どのような方法で伝えていくべきか、考えていきたいと思います。
外食や宿泊などに関連する仕事についていた外国人は、お店の休業や閉店で仕事を失いました。特筆すべきは、在留資格ごとに働ける仕事が制限されていたり、転職そのものが認められていない技能実習生たちは、最初の緊急事態宣言がでた2020年4月当時、かなりの不自由を強いられてきたんだと思います。(途中から、入管庁が特例措置を設け、他の業種でのアルバイト等も認めるようになりました。)
さらに、特にインバウンドに重きを置いてきた業界は、外国人の労働力は得てして代替ではなく日本人労働者の補完的要素が強いと言うことが、新型コロナウィルスという新たな脅威により突きつけられた思いがしました。
一方、極端に有効求人倍率が高い業界は、構造的な少子高齢化が顕著に現れ、以前として人手不足が継続し外国人の労働力に頼らざるを得ないかと思います。
また、関東圏に住む彼らの中では割に普通なのですが、寒い日でも基本暖房はつけません。電気代が勿体ないから、つけるくらいなら家族に送金したほうがマシだという答えが返ってきます。通常の環境でさえ、電気をつけないという節約をする彼らはコロナで仕事が無くなり、おそらく食べることもままならない状態だったろうと思います。特に2回目緊急事態宣言下では寒い部屋で友達と寄り合い、食べ物を分けながら寒い部屋で生活してきたんだろうと思います。
国や地方公共団体の支援策がわからない、しらない
2020年4月下旬、安倍首相が特別定額給付金一人10万円の支援を打ち出し、家賃補助が打ち出され、卒業した留学生がで帰国できない場合にはアルバイトが認められるようになり、徐々に支援策が見えはじめました。
当時、殆どの外国人がこれらの支援を知らなかったように思います。私たちも、私たちのメディアで出来るだけ拡散させようと、内容を多言語化し伝えてきました。
例えば、特別定額給付金については自宅に日本語の通知が来てから手続きをすると言った場合、その葉書や封書の内容さえもわからない、難しい日本語を理解しないと手続きできないという壁にぶち当たりました。中には、そんな紙来てない、知らないとか、分からないから捨てたとかいう声もありました。
国や地方公共団体、入管庁が、外国人も対象として支援を打ち出したとしても本人がわかっていないようでは困ったものだと強く感じていたのをはっきりと思い出します。
また、私たち日本人ですらわかりづらいのに、失業保険や学生支援緊急給付金などのように、申請先や窓口がそれぞれ別になることで、どこに行けばどんな支援を受けられるのかがわからなかったのだろうと思います。
だだ、少しずつ、日本語が上手な外国人が申請をしてみて実際に支援を受けられたという事例を通し、その外国人が仲間を助け始めて、もしくは私たちのような企業が手続き方法を伝えて徐々に支援を受けられるようになりました。日本人のそれに比べかなりゆっくりしたペースで拡散して行ったように感じています。さらに、おそらく支援の対象となるべき外国人でも、いまだにその情報が十分に伝わっておらず、必要な支援を受け切れていないというケースは多いように感じています。
多言語化の重要性
これらのことを踏まえて、緊急性が必要なものほど、また、理解して行動してほしいことこそ、日本語で難しい内容を彼らが読解しなくてはいけない内容は、出来るだけ他言語化していくべきだと私たちは考えています。
例えば、電車が事故などで不通になっている時のアナウンスや、緊急事態宣言などのため行動変容を促すとき、さらにコロナの拡散を防ぐための予防策や万が一コロナの症状が見られた際の正しい隔離方法や病院への罹り方など、日本人へ伝えるのと同じような情報拡散速度で、日本や地域独自の事情を正確に多言語化して伝えていくべきだと感じました。
また、支援に限ったことではありません。住民税や年金、国民健康保険料など封書が届いても何が書かれているのか理解できず、また、制度さえ知らないため捨ててしまうことも散見されます。納付することで彼らが在留することにプラスに働くことも伝えられると良いのではないでしょうか。
勿論、私たちも在留資格変更(ビザを取るための申請手続き)をする際、納付していないというケースに頻繁に遭遇するため説明を尽くしていますが、日本で社会生活を送るためには、税金を払わなくてはいけないこと、在留資格変更申請をスムーズに進めるために、理解してもらう工夫をしていきたいものだと感じています。