外国人労働者の現状
もしかしたら、日本企業にとって本質的な問題かもしれません。まだ、外国人労働者を受け入れた事がない企業にとって、雇用することにメリットはあるのでしょうか。
今や、外国人労働者はさまざまな場所で見られる様になりました。2020年10月現在170万人超の外国人労働者が働いています。2009年には60万人弱であったのに対し3倍以上大幅に増加していることが窺い知れます。特に製造業では2009年には20万人から、2020年には50万人へと存在感を増し、日本人も含めた製造業従事者は約1,000万人ですから、今や全体の5%を占めるなど伸びは顕著です。
主な理由は人手不足を解消させるというものが主な理由といえそうです。
受け入れる場合に準備しておいた方が良いと思われる体制
さて、外国人を労働者として受け入れることになるとどの様な準備が必要になるのでしょうか。
■メンター
これは外国人に限らず、日本人でもあったほうが良さそうです。メンターだけに特化した人材配置はなかなか難しいという実情があるかもしれません。より気軽に、先輩後輩のブラザーシスターサポートのような仕組みだと、一つ上、二つ上の先輩には困ったことや、日々の悩みも打ち明け易いのではないでしょうか。
■他言語化
特に日本人でもわかりづらい、税金や労働に関する法律は、働く外国人にとっては、かなりの難問です。できる限り多言語化しておきたいものです。また、身近すぎて私たちが不便にも思わない、冷暖房のリモコン、給湯器などはほとんどが日本語の表記です。こういった身の回りの器具などの使い方のサポートもしていきたいものです。
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■一時帰国を認める休暇設計
国によっては、フライトや移動だけで丸3日かかるというケースもあるかもしれません。そうなるとどうしても、ひと月ふた月単位での休暇が欲しいということもあるかと思います。日本人には、そう言った長期休暇を認めていないのに、外国人労働者だけ認めるのは難しいという意見はあるかと思います。
これは企業企業の優先順位や、考え方によりますが、外国人労働者を雇用できたので、人手不足が解消されているのであれば、日本人にも休暇を認めるなどの設計を持っては如何でしょうか。勿論、休暇は有給を消化する日数とそのタイミングは会社との話し合いで決定していっても良いかと思います。
また、一旦帰国してしまうと戻ってこないのではないのか、という懸念をされるご相談を頂きますが、基本的に彼らにとって日本は住みやすい憧れの地であることが多いため、家族すら帯同して戻りたい国です。
そのため、よほど社内で人間関係に問題があるとか、待遇面で揉めているとか、本人が家族の不幸などがあり戻れないということがない限り、また、キチンと人間同士向き合っていれば9割9分は戻って来ているというのが弊社調べによる結果です。
■宗教に配慮した賄いや休憩室の準備
お昼休憩などにお祈りができる場所を休憩室の一角に仕切りを設けて作って置くなどの準備を設けると言った心構えがあると、働く外国人だけではなく相手の考えへの尊重を表すいみで良い影響をもたらすことも期待できます。さらに、賄いを福利厚生の一部として用意する企業も多いかと思います。ベジタリアンや特定のお肉を口にしない方には、食事の中に何が含まれていると言うことを、可能であれば明記するのも良いかと思います。
このような負担をしてでも受け入れるべきなのか
さて、ここまで見てきて、こんなに準備が必要なのかと思われかもしれません。では、一体、雇用した企業にメリットはあるのでしょうか。
広い目で見ると世界中から優秀な人材を集められる。
特に技術が必要な職種においては、世界中から優秀な人材を集める事ができることになります。
優秀という意味の捉え方として、いわゆる単純労働であっても、日本人と比較しても覚えが早い、指示に従順に従って行動を起こしてくれる、地頭が良いなどがあげられるのではないかと考えます。外国人だからと言って、経済的背景から圧力をかけられるために、従順であるという意味ではありません。彼らは、学んで己の物にしようとする姿勢が強いという表現が合うかと思います。最終的には雇用企業ごとの判断になるかとは思いますが、うまく活用してきたいものですね。