特定技能2号移行試験における各分野の受験者数と合格率
各分野の特定技能2号移行試験の受験者数と合格率を解説します。
分野によっては、2024年の段階では、実施していないケースもある点は知っておきましょう。
造船・舶用工業
ClassNKが2023年10月に実施した、造船・舶用工業の特定技能2号移行試験における受験者数は1名、合格者も1名で合格率は100%でした。
試験問題は次のような内容で実施されています。
- 筆記試験は全部で30問。〇×式で答えていく形式
- 実技試験がある。分野は溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立てがある。たとえば、溶接の場合は手溶接・半自動溶接、TIG溶接のどちらかを選択する
ClassNKが実施する溶接のテキスト内容(安全衛生)をみてみると、基本的な知識を簡単な日本語で問われる印象でした。
試験を受ける前提として、2年の業務経験が必須となる点や技能検定1級に合格していなければならない点から、スキルは十分にある状態だと推察されます。
自動車整備業
自動車整備業に関する特定技能2号評価試験は2024年7月に開始され、日本自動車整備振興会連合会が実施しています。
試験合格率は以下のとおりです。
受験者 | 29名 |
合格者 | 1名 |
平均合格率 | 3.4% |
自動車の場合は、「自動車整備分野特定技能2号評価試験」又は「自動車整備士技能検定試験2級」のどちらかに合格しなければ、特定技能2号の取得はできません。
他分野と比較して、非常に合格率が低いものの、受験に必要な経験年数は3年です。
そのため、2号移行試験の受験者はある程度、「日本語での指示を聞きながら従業員として就業している」状態にあるといえるでしょう。
また、リーダー経験は不要です。
しかし、他分野と比較して圧倒的に合格率が低いことから、日本語による業務理解度が低いと予想されます。
そのため、普段の業務から日本語の使い方に対する企業のサポートが必須です。
航空業
航空業の特定技能2号移行試験は、2020年に特定技能1号の在留資格が作られたことから、現在はまだ実施されていません。
参考までに、特定技能1号試験の結果は次のようになります。
6月開催 | 8月開催 | |
受験者 | 278人 | 227人 |
合格者 | 人 | 144人 |
平均合格率 | 77.3% | 63.4% |
※日本航空技術協会(JAEA)の2024年に行われた試験結果から
航空業は空港グランドハンドリング業務と航空機整備業務の2つに分かれており、以下のように受験要件が大きく異なるといえます。
空港グランドハンドリング業務 | 航空機整備業務 | |
受験要件 | 空港グランドハンドリング業務の航空分野特定技能2号評価試験に合格する |
|
航空事業者技能証明に関しては、日本人が受ける一等や二等航空整備士、工場整備士などの資格取得が必要です。
航空事業者技能証明には対象となる資格がある程度決まっているため、特定技能1号の段階から専門的な教育が必須だといえます。
しかし、特定技能1号の在留資格を持ったまま、航空事業者技能証明を受けている場合は「日本語のスキルレベルが高く、専門知識も保有している」と判断できます。
そのため、他分野と比較して合格率が高くなる可能性もあるでしょう。
技能証明が可能な資格はこちらから。
宿泊業
一般社団法人 宿泊業技能試験センターが実施している、宿泊業の特定技能2号移行試験における受験者数と合格率は以下のようになります。
受験者 | 23人 |
合格者 | 1人 |
平均合格率 | 4.35% |
※一般社団法人 宿泊業技能試験センターの2024年3月に行われた試験結果から
宿泊業における2号移行試験は、頻繁に実施されているものの、合格率は低い状況です。
ただし、2号移行試験の受験要件では、2年以上の実務経験(レストラン・広報・接客など)とリーダー経験が必須となっています。
つまり、宿泊業に関しては、「現場では指示出しや接客の知識があるのに、試験には落ちている」という状況にあるといえるでしょう。
そのため、実務経験よりも日本語による文章問題のサポートを企業が行えば、合格率は向上すると予想されます。
飲食料品製造業
飲食良品製造における特定技能2号移行試験の受験者数と合格率は、以下のようになります。
受験者 | 181人 |
合格者 | 94人 |
平均合格率 | 51.9% |
※一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)の2024年5月から6月かけて行われた第1回の国内試験の結果から
試験内容に関しては、日本能率協会コンサルティング(JMAC)に参考テキストが掲載されており、十分に学習すれば合格できる内容だといえます。
また、実務経験が2年以上でリーダーの経験があることも要件の1つです。
飲食良品製造業においても、スキルや実務経験よりも日本語による出題の傾向によって、合格率が変動していると予想できます。
企業として「定期的にテキストを使用した研修」などを行えば、合格率の向上が図れるでしょう。
外食業
一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が2024年5月から6月にかけて開催した、外食業の特定技能2号移行試験の試験結果は以下のとおりです。
受験者 | 112人 |
合格者 | 53人 |
平均合格率 | 47.3% |
学習用テキストは、一般社団法人 日本フードサービス協会が提供しており、接客・飲食物調理・衛生管理・店舗運営といった種類があります。
テキストの内容に対して知識を問われる形式のため、ある程度学習すれば合格は難しくないでしょう。
加えて、日本語能力検定N3以上、飲食店での指導経験が2年以上必要となります。
つまり、受験する段階である程度の日本語スキルと総合的な知識が身についていると予想されます。
そのうえで、企業として定期的な試験対策や学習状況の管理などを実施すれば、合格率は更に向上するでしょう。
日本語検定に関する概要を知りたい方はこちらから。
まとめ
2回にわたって、特定技能2号移行試験の受験者数と合格率について解説しました。
実務経験と試験の合格に加え、分野によっては更に別の資格が必須となります。
テキストが配布されているケースが多いことから、企業として定期的な学習状況の把握を行うだけでも合格率の向上を図れる可能性があります。
特定技能外国人を自社の長期的な戦力として、育成していくためにもサポートの体制の見直しも大切です。
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