建設業でどのようにしたら特定技能外国人を導入できるか
前回の記事でも述べたとおり、建設分野のうち18職種について特定技能外国人を活用できることを書きました。ここからは、どのようなルートで雇用できるのかについて触れていきます。
建設分野には特殊なステップがあります。
まずは、受入機関(受け入れ企業)として、特定技能外国人を受け入れる前に事前準備として行わなければならないこと、遵守しなくてはならないことは以下の通りです。
- 建設業許可を取得していること
- 建設キャリアアップシステムへ事業者登録していること
- 特定技能外国人受入事業実施法人(一般社団法人建設技能人材機構(JAC))へ加入していること
JACへの加入は特定技能を受け入れる企業が直接賛助会員として登録することでも、加入している建設業者団体を通して間接的に加入することのどちらでも可能です。 - 建設特定技能受入計画の申請の日から5年以内又は申請の日以降に建設業法に基づく監督処分を受けていないこと
そして、有料職業紹介では建設人材の斡旋が禁止されているため、無料職業紹介やハローワーク等や建設技能人材機構(JAC)を通して特定技能外国人を受け入れることとなります。また、支援内容も登録支援機関への委託か国際建設技能振興機構(FITS)への委託かを選択可能(部分的には事前ガイダンス及び生活オリエンテーション)、転職支援及び相談・苦情の受付は建設技能人材機構へ無償で委託することが可能です。さらに、受け入れをする際には「建設特定技能受入計画」を国土交通省に提出し認定を受けなくてはなりません。また、この認定の写しを入管より在留資格の許可・交付を受ける際に提出しなくてはなりません。
特定技能外国人導入フローと建設分野に特徴的な導入フローを比較して図示します。
建設業に特定技能外国人を導入することとなった背景はこちら
LINK: 建設業への特定技能外国人導入の背景
特定技能1号の建設分野の給料はどのくらいか
雇い入れる際の給与の予定額は支援計画等にも盛り込むこととなります。また実際にその額が支払われているのかどうか、3ヶ月に一度の入管への定期届出の報告内容にも含まれています。
建設告示3条3項2号には「同等の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の報酬を安定的に支払い、技能習熟に応じて昇給を行うとともに、その旨を特定技能雇用契約に明記していること」としています。
実際にどのくらいの額が必要になってくるのでしょうか。建設分野特定技能1号外国人は、評価試験を合格した者(試験免除をされる技能実習修了者もいますが)が基本は3年程度の経験を有する日本人と同等の給与水準と比較して設定するべきとしています。参考となるのは「外国人建設就労者(特定活動32号)は、技能実習生2号以上を修了した者で、同一技能同一賃金の原則は特定技能外国人と同様です。2018年10月現在〜中略〜1年目で平均的に22〜23万円の月収となっていて、これに加え手当も支払われる〜以下略」(建設分野の外国人材受け入れガイドブック2019/建設技能人材研究会)となっており、地域的な差はあれど、最低賃金で良いということはないと認識しておいた方が良いかと思います。
特定技能外国人1号が就ける建設業18職種
特定技能外国人が建設業に携わる際、一定の業種でしかその労働を認められていたいことは前回触れました。ここではその個別の内容はどのような作業なのか詳述していきたいと思います。なお、主な業務内容のほか、通常日本人が働くこととなった場合に行うような関連業務についても、付随的に従事させられます(ただし、除草・除雪等の建設工事には該当しない業務)。付随的な業務だけを行わせることはできません。
建設分野における特定技能外国人が行える業務内容 | ||
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型枠施工 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながらコンクリートを打ち込む型枠の製作、加工、組み立てまたは解体の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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左官 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら墨出し作業、各種下地に応じた塗り作業(セメントモルタル、石膏プラスター、既調合モルタル、漆喰等)に従事。 |
主な業務内容 |
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コンクリート圧送 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、コンクリート等をコンクリートポンプを用いて構造物の所定の型枠内等に圧送・配分する作業に従事。 |
主な業務内容 |
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トンネル推進工 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、地下等を掘削し管きょを構築する作業に従事。 |
主な業務内容 |
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建設機械施工 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、建設機械を運転・操作し、押土・整地、積み込み、掘削、締め固め等の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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土工 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、掘削、埋め戻し、盛り土、コンクリートの打ち込み等の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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屋根ふき | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、下葺き材の施工や瓦等の材料を用いて屋根を葺く作業に従事。 |
主な業務内容 |
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電気通信 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、通信機器の設置、通信ケーブルの敷設等の電気通信工事の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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鉄筋施工 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、鉄筋加工・組み立ての作業に従事。 |
主な業務内容 |
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鉄筋継手 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、鉄筋の溶接継手、圧接継手の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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内装仕上げ | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、プラスチック系床仕上げ工事作業、カーペット系床仕上げ工事作業、鋼製下地工事作業、ボード仕上げ工事作業、カーテン工事作業、壁装作業の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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とび | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、仮設の構築物、掘削、土止め及び地業、躯体工事の組み立て又は解体の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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建築大工 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、建築物の躯体、部品、部材等の製作、組立て、取り付 け等の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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配管 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、配管加工・組立て等の作業に従事。 |
主な業務内容 |
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建築板金 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、建築物の内装(内壁、天井等)、外装(外壁、屋根、 雨どい等)に係る金属製内外装材の加工・取り付け又はダクトの製作・取り付け等の作業 に従事。 |
主な業務内容 |
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保温保冷 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業・化学工業等の各種設備の保温保冷工事作業に従事。 |
主な業務内容 |
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吹付ウレタン断熱 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、吹付ウレタン断熱工事等作業に従事。 |
主な業務内容 |
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海洋土木工 | 業務の定義 | 指導者の指示・監督を受けながら、水際線域、水上で行うしゅんせつ及び構造物の製作・築造等の作業に従事。 |
主な業務内容 |
人力、機械、作業船等により以下の作業を行う。
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雇用形態と受け入れ人数キャップ
特定技能外国人を建設分野で受け入れる場合、直接雇用でかつ、フルタイムでの受け入れのみとなります。特定技能に限らず、労働者派遣法においても、現場での作業にあたる労働者の派遣は禁止されています。また、受け入れ人数の制限ですが、1号特定技能外国人と外国人特定建設就労者(特定活動49種のうちの1つ、特定活動32号)の合計人数が、その「法人」で働く常勤職員の合計人数を超えないこととなります。(建設告示3条3項7号)
次の記事では、建設分野における特定技能2号について触れていきます。