運送業が人手不足となっている3つの要因
運送業が人手不足となっている原因は、次の3つです。
- ドライバーの高齢化が進んでおり、新しい人材の入職が少ない
- DX 化が進んでないケースが多く人材に負担がかかりやすい
- 労働時間の長さと比較しても給与は高くない
厚生労働省の「トラック運送業界の2024年問題」 から労働時間を読み解くと、全産業と比較して、年間の労働時間は大型トラックであれば月36時間、中小型トラックであれば月32時間長いという結果になっています。
残業の上限が月45時間であることを考えると、 運送業界は、人材に対する負荷が全産業の中でも高い状況にあるといえるでしょう。
運送業では、外国人が活躍できる場はあるか?
そして、人材不足に関しては日本人だけでなく、外国人も対象とすることで採用の幅が広がります。たとえば、小口配送や宅配便ほどの大きさであれば、普通車自動車免許でも配送業を行うことが可能です。
永住権を持つ外国人なら採用条件は日本人と同じ
出入国在留管理局によると、2023年末時点で日本で永住権を持つ外国人は86万3,936人です。
定住者や配偶者を合わせると200万人を超えます。
そのうえで、永住・定住者ビザを持つ場合、日本人と同様の条件で働くことが可能です。
また、永住・ 定住者ビザを持つ外国人であれば、日本人とほぼ変わらないコミュニケーションができるため、企業における教育の手間やコストを削減できます。
加えて、定住者は在留期限があるものの、長期間働くことを前提に税金の支払いや専門性のあるスキルなどを有していれば、永住ビザに切り替えることも可能です。
運送業におけるドライバーとして採用するには、日本で免許を取得している場合と海外で取得している場合に分けられます。
海外で取得している場合は日本で有効な免許に切り替える必要があるものの、すぐにドライバーとして働くことも不可能ではありません。
特定技能は長期向け
運送業は、特定技能の対象分野の1つです。
試験は2024年12月16日以降から、一部地域でスタートしており、今後は継続的に試験が実施されていく予定です。
また、運送業における特定技能試験においては、 日本国内のみで実施されています。
普通免許を持っている外国人を運送業に採用したいと思った場合には、日本語がある程度読めたり、書ける可能性が高く、コミュニケーションに戸惑うことはないでしょう。
しかし、普通免許を持っていない外国人を採用し、運送業で働いてもらうには 長期的な目線での育成が必要です。
日本語のコミュニケーション向上だけでなく、 免許取得のサポートまで必要となるため、 仕組みが整っていない企業であれば負担は大きいといえるでしょう。
また、特定技能1号のままであれば、 在留期限が切れた場合には帰国しなければなりません。
そのため、特定技能2号を見据えた人材育成の体制も整えておきましょう。
特定技能試験について詳しく知りたい方はこちらの記事から。
運送業で今後必要な戦略
運送業においては、人材不足以外にも次のような対策が必要です。
業務効率化で賃金向上を図る
賃金を向上させるためには、車両の稼働率や積載率の向上、ITシステムの活用による配送ルートの最適化など、業務全般の効率化が必要です。
たとえば、GPSやAIを活用した運行管理システムの導入や荷物の積み降ろしのオペレーション改善で、コストを削減しつつ、人材に対する負荷を軽減できます。
長時間労働と労働負荷の軽減を図る
長時間労働や不規則な就業パターンが多いものの、従業員の負荷を把握し、改善することで、人材の定着率が向上します。
たとえば、次のような施策が検討できるでしょう
- 余裕を持った運行スケジュールの策定-人材育成が進んでいれば ニーズに応じた シフト制に対応することができるようになる。また、適切な休憩時間と休暇の確保ができれば、モチベーションアップにもつながる
- 労働時間のモニタリング- 労働時間に関しては、企業側で厳格にコントロールする必要があるため、スマホアプリによる定期的な報告などの仕組み作りを行う
- 手作業の削減-運行スケジュールや在庫管理をAIやシステムに任せる。データ分析を進めば精度がより高くなっていく。また、ピッキングロボットや自動誘導者の導入なども負担軽減になる
自社の状況に合わせて取り組めるところから、環境の改善と人材の負荷を軽減していくことが大切です。
まとめ
運送業では、 人材不足が深刻化しており、 十分な労働力を確保しにくい状況になりつつあります。
しかし、外国人まで採用の幅を広げれば、人材不足による労働負荷やハードなタイムスケジュールでの業務を減少させられる可能性が高まります。
LTBでは、運送業で「初めて外国人を雇ってみたい」「そもそもどんな条件で採用すればいいのか?」といった疑問を持つ企業をサポートしています。
今後、「自社内で人員減少が大きな課題になりそう」などと感じている担当者の方はご相談ください。