製造業における人手不足の現状
2024年の経済産業省・厚生労働省・文部科学省が発表している「ものづくり白書」から読み解くと、2002年の段階で1,202万人だった労働人口は、2023年には1,055万人に減少しています。
34歳以下の若年層も2002年の384万人と比較して、2023年には259万人まで減少している状況です。
対して、65歳以上の高齢就業者の割合は8.3%まで増加しています。
つまり、知識やスキルを持つ若年層の人材が少なく、生産性を維持するのも困難になると予想されます。
しかし、AIやデータサイエンス教育の強化は現状で進んでいます。
たとえば、大学や専門学校における学部転換、リスキリング、大型研究施設の整備や活用なども含めて、政府は製造業の活性化に向けて整備中している状況です。
製造業において外国人が活躍できる業務
製造業において外国人が活躍できる業務は、以下のように幅広いといえます。
ここでは、工業製品製造業分野に特化してみていきましょう。
- 技能実習-鋳造やプレス加工、板金加工などの実施が可能。機械オペレーションとしてCNC旋盤の操作やメンテナンスなどもできる。基礎的な作業が多い
- 特定技能-作業工程のリーダーなどを行いつつ、鋳造や板金の加工なども行う。寸法や組立後の検査なども可能となるため、テスト工程なども任せられる
- 技術・人文知識・国際業務-CADを用いた設計や各種評価試験の実施。フローの検討や設備の選定、コストダウン施策の検討を任せられる
技能実習や特定技能に関しては、頭脳労働系の在留資格というよりも現場で実際に労働を行いながらスキルを研鑽していく方向性だといえます。
高度専門職や技術・人文知識・国際業務などに切り替えることも可能であるものの、大学や大学院で学ぶといった要件を満たす必要があるためです。
加えて、企業で人材を採用する場合も将来的な現場のリーダーなのか、経営まで踏み込めるスペシャリストなのかによって条件が異なります。
そのため、自社に必要な人材は経営陣だけでなく、現場の意見を聞きながら選定することが大切です。
製造業における外国人材を採用する際に考えたいこと
ここでは、製造業における外国人材を採用する具体的な方法について詳しくみていきましょう。
外国人と日本人の採用フローでの大きな違いは、在留資格の申請が必要な点と管理団体や登録支援機関との連携が必要な点です。対象となる人材の要件によって、採用フローが異なります。
そのため、初めて外国人を採用する場合は、「自社にとってどのような人材が必要なのか」を明確にしてから、採用方法を決定しましょう。
例1エンジニアや専門職(研究)を確保したい
エンジニアに関しては、専門的なスキルを持つ人材であると想定されるため、高度専門職か技術・人文知識・国際業務、永住権を持つ外国人が対象となるといえます。外国籍であっても大学在学中などであれば活躍できる可能性はあるといえるでしょう。
また、研究を専門職とする場合は、高度研究や開発業務が必要となるため、AI やロボットなどの先端技術の研究を行っている外国籍の会社員や大学生が対象となります。
適した採用方法は、自社ホームページやハローワーク、人材紹介会社、求人サイトなどです。
例2将来的な現場リーダーを確保したい現場
リーダーに関しては、検査や他人への指示も含むため コミュニケーション能力と論理的な思考能力が必要とされます。
また、現場に対する深い理解と知識が必要となるため、 長年の経験を要するケースも少なくありません。
この場合は、人材紹介会社や技能実習生、特定技能などが適しているといえるでしょう。
技能実習したいからスタートする場合、日本語のスキルが低いケースもあるため、企業は外国人に向けて様々な手続きのサポートや採用後のオンボーディングなども計画する必要があります。
例3作業面の人材不足を解消したい
作業面の人材が不足している場合は、「 日本語でのコミュニケーションがスムーズにでき、業務の生産性を落とさない」人材を確保することが目的になります。
そのため、特定技能、技能実習生、LTBなどをはじめとする人材紹介会社が役立つといえるでしょう。
自社で採用を行う方法も検討できるものの、初めて外国人を採用する場合必要な手続きや必要な体制を知る所からスタートする必要があります。
場合によっては、経営陣と話し合いながら新しい規定を作らなければなりません。
まとめ
製造業における人手不足に関しては、政府でも対策を講じつつあるものの、あくまでも対処法に過ぎず、根本的な解決には至らないと予想されます。
そのため、各企業で人材採用から長期的な経営戦略を改めて考えなければならないタイミングに来ているといえるでしょう。
実際に、日本人だけでは、これまでの生産性を維持することも困難になっていく可能性があります。
そうした状況をふまえて、外国人の活躍が望める場はないかを検討してみることも大切です。
LTBでは、製造業を行う企業に対し、適切な在留資格やスキルを持つ人材の提案を行っています。
初めて外国人採用を行うといった場合にもサポート体制を整えているため、お声掛けください。