建設分野における外国人のキャリアパス
建設分野における外国人のキャリアパスは、永住者以外は次のようなルートになることが多いといえるでしょう。
- 技能実習生から特定技能1号となり特定技能2号に移行。その後、専門的資格を取得し、施工管理や設計などで活躍する
- 特定技能2号を取得後、継続的な学習によって建築士やコンサルタント会社へ転職する
特定技能2号まで移行した場合は、工程管理者として活躍できるため、企業としても長期的な視点から外国人材を活用しやすくなります。
外国人も含めた建設分野で即戦力人材を確保する方法
ここでは、外国人を含めた建設分野で即戦力人材を確保する方法についてみていきましょう。
建設分野の人手不足がどれだけ深刻になっているのかはこちらの記事から確認できます。
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費用対効果を検討し層を絞る
採用活動の費用対効果を検討し、ターゲットとする人材を明確化しましょう。
たとえば、次のような方向性を経営陣や人材採用担当者が検討しなければなりません。
- 新規プロジェクトに対応できる経験のある高度な専門技術を持つ人材を採用する
- 将来的な人材育成を視野に入れて日本人や外国人を対象に若手を採用する
費用は、以下の項目を主に計算しましょう。
- 各候補者の求人広告費
- 採用エージェントへの手数料
- 面接や選考にかかる時間と人件費
- 入社後の研修費用
そして、期待したい効果を明確に定義する必要があります。
たとえば、その人材が将来的にどれだけ貢献できるのか、長期的な視点からの成長性も大切です。
- 過去の職務経験
- 保有する資格
- 技術スキル
スキルのある人材であれば、初期費用は高額となります。
そのうえで、実際にどの程度までプロジェクトや会社に貢献できるかを把握しなければなりません。
対して、外国人も含めた若年層を育てる場合は時間と長期的なコストが発生します。
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現地の人材送り出し機関とつながる
外国人労働者を採用する場合は、現地の信頼できる人材送り出し機関と連携することも大切です。
現地の労働市場や文化、法制度に精通しており、適切な人材の選定方法を知っているためです。
企業は、現地での人材リクルーティングや書類手続きの負担を軽減でき、適切な人材を迅速に確保可能です。
また、文化や言語の違いによるコミュニケーションギャップを最小限に抑えられ、ミスマッチのリスクを減らすことができます。
仮に、送り出し機関を選定する場合は、現地での実績や評判、政府の認可状況などを徹底的に調査しましょう。
たとえば、採用後に労働者が早期退職した場合の補償やビザ申請が不許可となった場合の対応なども確認することが大切です。
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労働環境を整える
労働環境を整える場合、現状分析を細かく行うことが大切です。
- 賃金-スキルや経験に合っているか、基準や評価方法の周知など
- 週休2日制の実施率-現場ごとの報告の正誤確認、全体の実施率確認
- 平均残業時間-法定労働時間、土日出勤の有無など
- 安全な環境確保の方法-定期的な安全教育の実施、安全チェックの手順の周知・実施の徹底など
- コミュニケーション促進-車内 コミュニケーションができる掲示板の活用
たとえば、賃金だけに着目しても建設労働者のスキルや経験にあった 給与体系になっているかどうか、明確な賃金体系が設定されているかなどを確認しましょう。
年功序列ではなく、保有するスキルや経験によって昇給や昇格の基準を明確にすることが大事です。
また、日本人と外国人労働者は同様の労働条件や賃金に統一する必要性があります。
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技能実習生・特定技能の受け入れを行う
外国人労働者を雇用する場合は、在留資格が技能実習生・特定技能・永住者の3パターンになっている労働者しか雇用できません。
永住者に関しては、日本人と同様の採用方法で問題ないものの、技能実習生と特定技能1号・2号は実習計画や受け入れ準備も必要です。
技能実習生からスタートして、特定技能1号に至るまでには最長で約5年の時間が必要です。
また、技能実習生2号まで修了している外国人材を海外で採用すれば、特定技能1号として日本で働いてもらうこともできます。
とくに、採用サイトや転職サイトを利用しても日本人からの応募が少なく、求めたスキルや経験を満たした人材がいない場合は、外国人の採用を前向きに考えましょう。
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文化・考え方を受け入れられる体制を作る
外国人と日本人の文化・考え方は大きく異なります。
そのため、次のような項目を実施しなければなりません。
- 異文化コミュニケーションの研修-タイ、ベトナム、インドネシアなどといった国具の文化や価値感を把握する。宗教上の習慣や食事制限、祝祭日など。
- 多言語対応のマニュアルや業務指示書を準備する-必要に応じて通訳や翻訳サービスを利用し、正確な情報伝達を図る。また、日本語学習の機会を提供し、労働者の語学力向上をサポートする
- メンター制度の導入-日本人社員が外国人労働者の業務や生活面でのサポートを行えるようにする。労働者が抱える不安や悩みを早期に解消し、職場への適応を促進する。また、定期的な面談を実施し、メンタルケアも実施する
受け入れ担当者だけでなく、経営層も多様性の重要性を把握し、積極的に組織文化を変えていかなければなりません。
まとめ
建設業は、外国人が即戦力として活躍できる環境があります。
とくに中小企業においては、高いコストで日本人を採用するよりも長く活躍してくれる可能性があるといえます。
そのうえで、人材不足を補う対策が自社で徹底されているか見直しましょう。
LTBでは労働力不足に悩む企業に対して、外国人雇用をサポートしています。
「今すぐに人材が必要」「人材不足の解消手段として外国人採用は本当に有効なのか?」といったお悩みを持つ場合には、お気軽にご相談ください。