はじめに
外国人を雇用する際は、雇用後の退職のリスクも考えて準備しておくことをおすすめいたします。本記事では、外国人に多い退職理由と離職を防ぐためにはどうしたら良いか?解説していきます。
外国人が会社を辞める理由
外国人が会社を辞める理由には、主に以下の内容があげられます。
- 職場での人間関係がうまくいかない
- 異文化どうしが理解できない
- 労働条件に不満がたまる
- 給与が低い
- 仕事内容が合わない
- スキルが活かせない
- 厳格なマナーで疲れる
- 言葉が通じない
- 慣れない仕事と生活の両立が難しい
職場での人間関係がうまくいかない
日本人社員でも問題になる職場の人間関係は、外国人社員の退職理由の上位にあがっています。
日本独特の習慣として、上司と部下や先輩と後輩の関係性は、外国人社員にとっては理解しづらくストレスになりやすい面があるようです。
日本の場合、役職や年齢などを踏まえて相手の立場を重んじるという考え方が習慣となっていますが、海外の場合は、国や地域によって異なりますが、上下関係なくフラットに意見を言えることが普通である場合もあります。
外国人社員が、今までの習慣とは異なる職場環境では、日本特有の付き合い方に慣れずに、さらに言葉の通じにくい社内では孤立したりして会社を辞めたくなる理由に繋がっています。
異文化どうしが理解できない
外国人社員は日本の文化や習慣を理解できず、日本人社員は外国のことを理解できず、お互いにスレ違ってしまうことはよくあります。
国籍が違えば考え方や振舞いが違ってくるのは当たり前ですが、実際にズレが生じた場面では、適切な対応ができないことがよくあります。
外国人と日本人が職場で上手くいかない場合に、お互いに歩みよりがなかったときは、そのままスレ違ったまま辞めてしまうことになります。
労働条件に不満がたまる
残業が当たり前で有休を取りづらい労働環境では、ストレスを感じる外国人は少なくありません。また、日本の会社では、就業時間外の懇親会や、休日に催されるイベントに参加しなければならないことも、外国人社員にとっては対応しにくい場面となっています。
日本の習慣として仕事とプライベートの区分けが曖昧なため、外国人社員が理解しずらい状況に不満がたまりやすくなっています。
給与が低い
外国人が日本に働きにくる一番の目的は稼ぐためであり、希望通りの収入がなければ、辞めて他に転職を考えることになります。
ほとんどの外国人は、母国へ定期的に送金できるような高い給与を得るために日本へ来日しています。外国人社員を雇用している会社は、給与について外国人と日本人との差がないように公平に対応することが必要です。
仕事内容が合わない
採用面接時に打ち合わせしていた業務内容と異なる場合や、思っていた仕事内容とは違っていたということで辞めてしまうケースが多くなっています。
また、仕事内容についてあまり理解しないまま、業務をスタートしてしまうと、よくわからないまま、辞めてしまうこともあります。
スキルが活かせない
外国人社員が、日本の職場で働き始める場合、大半は、補助的なポジションでスタートすることが多いため、今までのキャリアやスキルを活かせずに辞めてしまうケースがあります。
日本の会社が外国人をはじめて採用した場合に、まずは言葉の問題や習慣・マナーなどの
足りない部分に視点がいきやすく、外国人の持っている技術や知識が後回しになってしまうことがあります。
本来の自分を活かせない外国人社員は、モチベーション低下で会社を辞めてしまうことに繋がっています。
厳格なマナーで疲れる
日本の習慣・マナーが他の国と比較して、最も厳しいことは世界でも良く知られていることです。職場でも日常生活でもマナーが厳しく、間違えることが許されにくい習慣に外国人社員はストレスをためやすくなります。
日本人は、ルールに忠実に従うことができる特技がありますが、外国人の場合は、時と場合に応じて対応できないケースも生じます。
言葉が通じない
外国人社員が日本人社員のように、空気を読んで対応するまでには言葉の問題をクリアする必要があります。外国人が日本の会社に採用される前には、一定のレベルの日本語試験に合格しているわけですが、実際に仕事の現場で対応できるようになるまでは、時間と個人の努力が関係してきます。
言葉が通じない分、積極的になれない人もいるため、仕事に向きあうモチベーションが低くなって辞めてしまうこともあります。
慣れない仕事と生活の両立が難しい
外国人社員が日本人社員と異なる点は、仕事も生活も同時に新しいことを身に付けなくてはならないことです。例えば、日本人社員が海外勤務で働き始めるのと同じようなことです。
新しい仕事をスタートして勤務時間が終わると、家に帰っても新しい生活スタイルに順応する必要があります。慣れない食事や使い勝手のわからない住宅環境では、ストレスをためて会社の仕事も続かなくなってしまうケースもあります。
会社が取り組む改善策
では、どうすれば外国人の退職を防ぐことができるのか?改善策を解説しています。
採用面接時で見極める
まず、採用面接時には、雇用後のミスマッチが生じないように、細かく確認しておくことが必要です。
確認事項として、外国人本人の書類内容を基に、実際に話し合ったときの印象やマナー、受け答え方などから人柄や素質について見極めておくことが必要です。
例えば、日本語のレベルだけに限らず、コミュニケーション能力についても審査しておくと良いでしょう。
労働条件をくわしく説明しておく
雇用後にクレームがおきないように、労働条件について母国語でわかりやすく説明しておくことが必要です。日本の雇用契約の内容の見方について理解できるように、事前の研修が必要です。
目的や将来像を聞いておく
外国人の将来像と会社側の考え方がミスマッチにならないように、事前に外国人から目的やキャリアについて話し合っておくことが必要です。
方向性が異ならないように、採用面接時にヒアリングしておくと良いでしょう。
定期的な面談や相談を行う
外国人社員のメンタルヘルスのために、定期的な面談や気軽に相談できる窓口を設けて、心のケアをするようにしていきましょう。
特に入社したての時期には、頻繁に話し合いができるような環境づくりが必要です。
生活面のサポートも行う
職場のサポート以外に、日常的なサポートも必要です。社内に指導できる担当者がいると良いでしょう。
ビジネスマナーと日本語の研修をする
外国人が働きやすい職場環境のために、社内で日本語やビジネスマナーの講師を招いて研修を行うと良いでしょう。職場でも学習できる環境があると、外国人のやる気やモチベーションにも繋がっていきます。
外国人の意見に耳を傾ける
外国人社員の意見を、流さないようにまずは聞く耳を持つことが必要です。外国人社員の意見の中には、日本人社員が考えつかないようなアイディアがあったりします。
些細な意見でも、その内容を深く理解して良い方向性に結びつけていくと良いでしょう。
まとめ
外国人社員が退職するおもな理由と、退職しないようにするための改善策について解説しました。
外国人を雇用する際は、外国人社員特有の悩みを解消するように、積極的に異なる部分に踏み込んで解決していくことが必要です。
日本人の場合、相手の気持ちや態度を重んじて流してしまうことが多いので、違った意見や異なった習慣には、随時、コミュニケーションをしながら対応するようにしましょう。