はじめに
人手不足が顕著になりつつある中、年間2万箇所ずつ外国人雇用をスタートさせる事業所が増え続けています。
外国人雇用が進んで行く一方、なかなか定着してくれないという企業も少なくありません。
今回のコラムでは、どうしたら外国人が定着してくれるのか?外国人の離職が少ない企業はどんな戦略で対応しているのか?解説していきます。
外国人が定着するためにはどうする?
2024年問題が目の前に迫る中、人手不足を外国人の皆さんの力を借りて解消したいとする企業は増え続けています。
一方、外国人の定着率の秘訣がわからず、せっかく戦力として期待していたのに退職してしまうという現状もあるのではないでしょうか。
では、どうしたら外国人社員の定着率を高めることができるのか?これには、外国人社員が会社を辞めたくなる理由について知っておくことが必要です。
外国人が離職する理由
外国人社員の離職理由には、日本人の離職理由と似ていて頷けることが多いところ、外国人ならではの特別な理由も含まれているので、会社側は、その傾向を知っておくことで、離職を防ぐことができる可能性が高まります。
外国人社員が離職する主な理由は、以下の内容となっています。
- 社内の人間関係に不満がある
- 求人内容や雇用条件と実際の業務内容にミスマッチがある
- 賃金に不満がある
- 外国人に対しての偏見がある
社内の人間関係に不満がある
外国人社員が日本人社員にうまく溶け込めなかったり、メンターなど社内に相談できる場所がなかったりすることはないでしょうか。
彼らも我々と同じで、社内で孤立したりすることがないよう、メンターなどできれば母国の事情や文化を理解する姿勢のある方がいると安心して働く傾向が見られます。
日本人だから、とか、外国人だから、と言った壁を一旦忘れて、国籍関係なく交流すること、そして理解しあう努力を続けていくことで人間関係が醸成され不安が解消され不満がなくなっていくことでしょう。
また、最初からメンターだけを請け負う部署や専任従業員を配置する必要はありません。
先輩や上司が声掛けをする、1on1で傾聴するなど、重くないメニューからスタートすることで会社への負担感は軽減されます。
求人内容や雇用条件と実際の業務内容にミスマッチがある
応募した求人内容や提示した雇用条件と、実際に働いてる内容に乖離が生じている、もしくは配置転換ほどではないが当初の想定から業務内容が変わってきたなどがある場合はないでしょうか。
これは、会社の状況や個人の能力により変更をせざるを得ない背景と、そもそも求人内容で雇用しなかったと言ったケースがありうるかと考えます。
前者の「会社の状況や個人の能力により変更をせざるを得ない」場合、事前にしっかり本人に伝えた上で、お互い合意すること。
そして日本人の正社員に対してやや曖昧な伝え方をしても理解してくれる傾向に対し、外国人はどちらかというと明確に伝えら得れることを好む傾向が強いです。
そのため、明確な合意形成を行うことをお勧めします。
さらに、後者の「そもそも求人内容で雇用しなかった」場合は、やはり事前に説明を尽くすべきでしょう。
賃金と業務内容が異なることが採用後発覚し、外国人正社員の理解が得られず退職するケースも散見されます。
残念な結果を招かぬよう、説明を尽くし、合意できることとそうではないところ、そうではないところは協議し他の解決策を模索することがベストかと思われます。
賃金に不満がある
よくあるケースをいくつか挙げます。
- 求人内容や雇用条件(雇用契約書)と実際の給与額等が異なる
- 総支給額と手取り額の差額の理解不足
- 手当の支給条件についての理解不足
求人内容の給与について幅を持たせている場合や、雇用契約書の内容が理解に至らず、実際の給与明細の金額が異なる場合は、外国人ではなくとも不信感を持たれかねません。
そのため、事前に丁寧に説明をし、理解をしてもらうことで回避は可能です。
また、給与明細の中の総支給額と手取り額の差額が、社会保険や税金であることを理解ができておらず、不信感につながるケースも見られます。そのため、採用が決まった段階で、雇用条件などの説明をし、概算でどのくらいの税金が引かれる予定か伝えておくことがお勧めです。
残業代が出ると言っていたのにでない、住宅手当がもらえると言っていたのにもらえないと言ったことも見受けられます。
こちらも、残業代が支給される条件、住宅手当が支給される条件などを事前に伝えておくことで多くの不満は解消されるでしょう。
外国人に対しての偏見がある
外国人社員に対して、あからさまな差別や偏見はもちろん改善されるべきことです。
外国人であるという理由だけで、いじめやパワハラを受けて離職するケースが多くあります。また、日本人社員が外国人社員に対して気が付かずにしてしまった良くない行為で、離職してしまうケースもあります。
同じ社内で、文化や習慣の違う社員どうしが共に働いていくためには、外国人という扱いではなく個人として尊重されるような職場環境づくりを考えていきたいものです。
外国人が定着するための方法
外国人社員が離職する理由を踏まえて、では、外国人が定着するためには、企業側がどんな対策や準備が必要であるか解説して行きます。
休暇について考える
休暇とは有給休暇のほか、一時帰国についての休暇も検討しておくと良いでしょう。彼らは母国を遠く離れて家族のためだったり、自分のために、そして、もちろん会社のために働いています。
慶弔時にどのような扱いをするのか、家族の看病や介護などのケースの取り扱いなどを、どのくらいの期間であれば会社として許容できるのか、できないのか、そして日本人正社員の待遇との差をどうすべきか想定しておくと良いでしょう。
適正な賃金を支払う
外国人社員も日本人社員と同等またはそれ以上の賃金を払うことが必要です。
技能実習生や特定技能の外国人だからといって、安い賃金で雇用できるということはありません。
従来より国際問題となっていた技能実習生の失踪では、不正賃金と過酷な労働環境が理由となっています。外国人の働き方や成果への対価は、最低賃金法に基づいて適正であることが重要です。
評価基準を明確にする
外国人社員の評価基準を明確にして、外国人本人が、何が評価されて何が課題であるか?自己分析できるように指導することが必要です。
会社からの評価は、外国人正社員だけではなく日本人正社員のモチベーションに繋がり定着率を上げる方法になります。
文化と習慣をお互いに知る
それぞれが違うということを前提に進めることが必要です。日本人社員と外国人社員がお互いの国民性を知ることは同じ職場で一緒に働き続けるために重要なことです。
日本人の当たり前は、外国人には通用しないため、まずは視点を変えて考えてみることが必要です。違うことを無理やり同じにさせようとするのではなく、なぜ違うのかをお互いに話し合って改善していくことが必要です。
日本語学習のサポートをする
外国人社員は入社前に一定の日本語スキルを持ってスタートしていますが、入社後も、会社側で、日本語学習のサポートを継続することが必要です。
各業界別の専門用語やビジネス会話の学習など定期的な日本語研修や、日本人社員との交流会を計画して、日常会話のスキルを上げることも効果的な方法となります。
定期相談を受け付ける
外国人社員の悩みや相談窓口を設けて、定期的にメンタルヘルスチェックを行うと良いでしょう。外国人社員には、外国人ならではの悩みがあるため、相談員には、日本で働く外国人社員について理解のある専門家に依頼するのも良いでしょう。
キャリアアップを支援する
外国人社員のキャリアパスが実現できるように、外国人本人から将来の希望に合わせて支援していきましょう。外国人社員が希望する将来のためにサポートを行い、キャリアアップを積極的に行うことは、外国人社員が定着して働くための方法となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。外国人社員の定着のためのヒントは見えたでしょうか。
何よりもまず、外国人だからと言って区別して向き合うのではなく、日本人社員に接するように向き合いつつも、外国人社員が母国から遠い国で頑張っていることを理解した上で向き合うことが定着のヒントになることをお伝えしました。
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