身分系のビザ3種
日本人の配偶者等、定住者、永住者とも日本の選挙権がないだけで、就労だけではなく日本人の様に一切の制限がないのが、こういった身分系のビザになります。
日本人の配偶者等はわかりやすいかと思います。日本人と結婚すればこの在留資格を得られることになります。
日本人の配偶者等とは
日本人の配偶者等とは、
- 日本人の配偶者
- 日本人の特別養子
- 日本人の子として出生した者
となります。
特別養子というのは家庭裁判所へ「特別養子縁組」の申し立てをし、審判を経て成立するものになります。なお、2020年4月に民法が改正になり「原則として15歳未満の未成年者の福祉のため特に必要があるとき」に認められるものとなり、従前の「原則6歳未満」から認められる年齢が広くなりました。
では、雇用する側として「日本人の配偶者等」の在留資格が有効なのかといった点から詳述していきます。
婚姻関係の成立は婚姻届が受理されていることを指します。まれに、前の夫や妻とは離婚が成立しており、現在、内縁の夫や妻がおり、在留期間が残っているから大丈夫という理解の外国の方もおられますが、そこは要注意です。その在留資格は前の夫や妻との婚姻関係があるからこそ有効なのです。プライベートに基づくことで聞きづらいかもしれませんが、不法就労につながる恐れもあります。うまくヒアリングするようにしたいですね。
この事実が判明した場合には、是非、「入管に行って相談してきてください。」と伝えましょう。
「在留カードを見て、『日本人の配偶者等』と書いてあり、面接し日本語も上手なので安心したため、採用しようと思った。ただ、在留カードに書かれている住所がかなり遠く、県外なので『奥さんはご一緒ですか?』と聞くと、故郷に残してきているという。」ここは要注意です。ご本人に基本、別居はこの在留資格の趣旨から外れること、さらにはその理由を詳しくヒアリングしてみましょう。
定住者とは何か
定住者とは法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者としています。入国管理及び難民認定法にはややこしく書いてあるので簡潔に列挙しました。
- ミャンマー難民で、マレーシアもしくは、インドネシアに庇護されている者で、国際連合難民高等弁務官事務所により保護が必要と認められ、日本に対してその保護を推薦する者
- 日系人(二世、三世)
- 日系人の配偶者(二世、三世)
- 実親が日本人、永住者、定住者、日系人、日本人の配偶者又は永住者の配偶者が扶養する未成年で未婚の実子
- 養親が日本人、永住者又は定住者で、かつ扶養者であり、本人が6歳未満の者(特別養子を除く)
- 中国残留邦人とその配偶者、20歳未満の実子等
さて、ここで不思議な感覚が生まれると思います。ミャンマー難民で国連高等弁務官が保護を訴えているのに日本で難民と認定しないこと、日系人だけなぜ特別なのか、この点に触れてゆきます。
ミャンマー難民については、2010年より政府がUNHCR国連難民高等弁務官事務所とともに「第三国定住による難民の受入れ事業」とし創設されたものです。いわゆる難民と法律上の大きな違いは「本邦の国内で難民申請をする者」としており、国外にいる者は対象ではありません。
日系二世及び三世については1980年代、バブル時代の最盛期だったころ、政府はいわゆるブルーカラー系の3K職種の深刻な人手不足対策として、その昔南米のペルーやブラジルに渡航した日本人に着目をしました。その二世、三世を日本に呼び戻すべくこの在留資格が1989年に生まれたのです。
当社においては、定住者は東海・北関東エリアからのご登録が多く、特に「自動車部品等の製造業」や「飲食料品の製造業」に携わる方が多い傾向にあります。
永住者とは
永住者は外国人が希望して申請をし認められる在留資格になります。
通常10年以上、日本で収入を持ち生活してきた実績があり、素行が優良である者に許可が下りる在留資格と考えて間違いありません。
つまり、税金や社会保険を滞納なく納付をし犯罪歴等がないことが申請要件に含まれています。
この犯罪歴等には罰金刑も入り、例えば、無免許運転や30キロ以上速度超過等も該当します。
なかなか、厳しい条件ですね。
なお、2019年に新しく始まった特定技能や技能実習生が日本に5年10年在留していても、残念ながらこの永住者許可要件の10年にはカウントされません。
申請時に必要な一般的な書類の抜粋です。
- 在職証明書
- 扶養する者もしくは本人の住民税納税証明書3年分等
- 身元保証書
- 身元保証人の住民税納税証明書
永住者はその在留資格を許可されるハードルが高いことは触れてきました。在留期限も無制限となり、就労制限がないことから安心して雇用につなげられる在留資格の一つです。では、実際に雇用する場合の不安材料は何になるでしょうか。
偽造という観点から言えば、在留カードを確認する方法以外にありません。出入国在留管理庁は 在留カード等番号失効情報照会で在留カードが有効かどうか確かめることができるサイトを運営しています。残念ながら在留カードの偽造技術が高くなりつつあること、そして巷ではこの番号さえも3万、5万偽造カードとともに販売されているのも事実です。
では、どうやって防げばいいのか不安になりますね。在留カードに埋蔵されているICチップをアプリでスキャンするほか、本人へヒアリングをすることをお勧めします。