なぜ外国人労働者の給料が安くて良いと考えられがちなのか、その背景を探り、技能実習制度の問題点を改善するために導入された特定技能制度について説明し、現行の特定技能外国人労働者に支払われるべき給料の額についても触れます。
外国人の給料に対するステレオタイプ
外国人労働者の給料が日本人よりも安くて良いと考える背景には、いくつかのステレオタイプや誤解が存在します。
まず、外国人労働者は日本での生活費が少ないため、低い給料でも生活できるという考え方があります。
また、外国人労働者が日本での職業経験や日本語能力が不足しているため、同じ仕事をする日本人よりも低い賃金で雇用しても問題ないという認識もあります。しかし、これらの考え方は多くの場合、外国人労働者に対する不当な差別や搾取を生み出し、日本社会全体の公平性を損なうことになります。
特定技能導入の背景
日本の労働市場において、外国人労働者の役割はますます重要になっています。
特に、技能実習制度が導入された当初は、外国人労働者が安価な労働力として利用されることが多く、最低賃金以下での雇用が問題視されていました。
これに対する改善策として、2019年に「特定技能」制度が導入されました。特定技能制度の目的は、外国人労働者が正当な賃金を受け取り、適切な労働環境で働けるようにすることです。
この制度では、特定の産業分野において一定の技能を持つ外国人労働者が、労働力不足を補うために日本で働くことが認められています。
日本人同等が求められる特定技能外国人労働者に支払われるべき給料の額については、日本人労働者と同等の賃金が求められています。
具体的には、特定技能の労働者には、日本人と同じ仕事内容に対して同じ賃金が支払われるべきであり、労働条件も同様に設定されなければなりません。
これにより、外国人労働者が日本人労働者と同等の権利を享受し、公平な労働環境が整えられることが期待されています。
さらに具体的にいうと、入管に申請を出す際、同様の仕事内容で働く日本人にどのくらいの給料を払っているのかを記載することになり、また、定期届出と言われる3ヶ月に一度入管に資料を提出する際には、実際にどのくらい支払ったのか、本人の口座振込額、給与明細、会社の賃金台帳を突合することで確認を受けることとなります。
結論
日本企業が外国人労働者を雇用する際、日本人よりも安い賃金で雇うべきだという考えは、現行の法制度や社会の公平性の観点から見ても誤りです。
特定技能制度の導入により、外国人労働者にも日本人と同等の賃金と労働条件が求められるようになりました。
これにより、日本社会全体の労働環境が改善され、公平で持続可能な労働市場が形成されることが期待されています。
日本企業の人事担当者や経営者は、この点を十分に理解し、外国人労働者に対して公正な待遇を提供することが重要です。それによって、外国人労働者のモチベーションを高め、企業全体の生産性向上につながることでしょう。