はじめに
在留カードは、中長期間在留する外国人に対して与えられるカードです。
在留カードは、外国人が日本に在留できるための身分証明書のようなものと考えると良いでしょう。
昨今では在留カードによる違反行為、偽造カードの流出も多発しています。
外国人雇用においては、外国人の所持している在留カードの内容確認やカード自体が不正なものではないか見極めることが必要となります。
今回は、在留カードの見方や正式なカードであるか判断するための方法などについて紹介して行きましょう。
在留カードとは?
法務大臣が中長期在留者に交付するICカードです。上陸許可、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留にかかわる許可に伴い交付されます。
ICカードの導入は、偽造カードの横行に対して偽変造防止のためにICチップが搭載されています。
中長期在留者とは?
以下の在留資格にあてはまらない外国人を中期在留者と言います。
- 3ヵ月以下の在留期間が決定された人
- 「外交」または「公用」の在留資格
- 特別永住者
- 「短期滞在」の在留資格
- 特定活動:台湾日本関係協会の本邦の事務所/駐日パレスチナ総代表部の職員またはその家族の方
在留カードに記載されていること
外国人を雇用する際に身元を確認するために、雇用者は外国人に在留カードの提示を求め、記載されている内容をチェックする必要があります。
在留カードの確認項目は、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否などで、各項目が必ず最新情報であることが必要です。また、在留カードの写真が同一人物、本人であるか確認するようにしましょう。
また、住所や在留資格などの記載事項に変更があった際は、それぞれの提出場所に変更届を出して在留カードの内容も変更しておくことが必要です。
常時、外国人の日本での活動内容と身分証明内容が、在留資格カードの記載事項と同じであることが重要です。
在留カード変更届の提出場所
在留カードに記載される内容を変更する場合、出入国在留管理庁、または転出先の市町村窓口へ最新の内容を届出することが必要です。
〇出入国在留管理庁に届ける:
在留資格変更許可/在留期間更新許可/在留資格取得許可/永住許可/婚姻で氏名変更/国籍変更/在留カード紛失、盗難/など
〇居住地の市町村窓口に届ける:住所変更
在留カード携帯の義務
在留カードは常時携帯することが義務付けられています。入国管理法では、在留カードを携帯していなかった者に対して20万円の罰金が科せられる罰則を定めています。
ただし、16才未満の外国人は携帯義務はありません。
在留カードの携帯義務の理由は、偽造旅券による外国人の入国や不法滞在者などの問題があるため、外国人の身分を証明する在留カードを常時、携帯することが求められています。外国人が公的な機関等で届出を行う際は、必ず在留カードの提示を求められため、常に所持していることが必要となります。
在留カードの有効期限
在留カードの有効期限は、永住者以外の在留資格の場合、在留期間満了日までとなります。永住者の有効期限は在留カード交付から7年間有効となります。
在留カードの有効期限は、在留期間が終了すると効力がなくなり、在留カードは出入国在留管理庁へ返却することとなります。
在留カードの氏名は漢字にできる
在留カードに記載する氏名はローマ字表が基本ですが、中国や韓国の国籍の方のように氏名に漢字が使用されている場合には、ローマ字名に加えて漢字名を併記することができます。
留学生アルバイトの場合の確認方法
留学生の在留カードの見方で注意する点について説明いたします。
留学生は、在留資格の中で就労が許可されていない種類に属します。
したがって在留カードには”就労不可”と記載されています。ただし、留学生の場合、28時間以内のアルバイトは資格外活動許可を受けていれば、就労が認められるようになっています。
よって、留学生をアルバイトで雇用する際は、在留カードに就労不可となっていますが、カード裏面に「資格外活動許可」という記述があれば、アルバイト採用もできるということになります。
留学生をアルバイトで雇用した場合には、この仕組みについて把握しておくことが必要です。
偽造の在留カードに要注意
偽造の在留カードが流失しているため、外国人を雇用する際は、以下のチェック項目にしたがって確認しましょう。
以下は正式な在留カードに施されているホログラム(動かすと色が変わる効果)と文字デザインなどについてのチェック項目です。
- 在留カードの表面は、 MOJの文字がピンクからグリーンに変化するホノグラム効果になっています。
在留カードの左側は、カードを上下に動かすとピンクからグリーンに変化するホログラム効果になっています。
在留カードを左右に動かすと顔写真の下部が3D的な動きに変化します。
顔写真の下部にある銀色のホログラムは角度によって文字の白黒が反転します。
暗い場所で在留カードの表面から透かしてみると、MOJMOJの文字が浮き出します。
在留期間、有効期限の文字が半角になっています。
詳しくは画像で確認
LINK HERE: 在留カード:偽造を見分けるための質問5つ
在留カードの右下にある交付者の角印が、キレイすぎるのは偽造です。正式な在留カードの角印は少しかすれたりしています。
在留カード等番号失効情報照会の確認
『在留カード等番号失効情報照会』は、法務省による在留カードが有効であるかどうかを確認するための機能です。法務省Webサイトからアクセスし、在留カード番号と有効期間年月日を入力すると在留カードが失効していないかを確認できます。
ただし、偽造在留カードの中には、在留カード番号と有効期限を巧妙に作り上げたカードも出回っていますので、他の方法も含めて重ねて確認が必要となります。
在留カード等読取アプリケーションの活用
2020年12月より出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」が活用できるようになりました。「在留カード等読取アプリケーション」は、ICカードリーダーを使って在留カードの真偽を判断することができます。
アプリをダウンロードし、在留カード番号を入力してカードを画面にかざします。カードの読み取りが始まり問題が無い場合は、「正常な在留カードを読み取りました」と表示されます。
偽造の在留カードで雇用した場合
在留カードの真偽が見抜けずに、偽造カードで外国人を雇用した場合、「不法就労助長罪」で3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科せられます。
不正を知らなかった、見抜けなかったでは理由にならないため、外国人を雇用する場合、在留カードの内容と在留カード本体が偽造ではないかについて確認する必要があります。
ただし、偽造在留カードの問題が大きくなってくると、正当な外国人であっても、何かあるごとに在留カードの提示を求められ、真偽を問われるようなことが増えてくることはあまり好ましくない傾向です。外国人雇用において、在留カードを確認する際は、外国人の人権を尊重して不必要な確認は避けることが理想的です。
まとめ
在留カードは外国人が日本で在留するための活動や身分を証明する内容が記載されています。外国人を雇用する際は、所持している在留カードの内容を確認し、加えて偽造カードでないかチェックする必要があります。また、在留カードは外国人が引っ越し等で住所変更になった場合や在留資格を変更した場合には、速やかに新しい内容で届出を行い、在留カードの内容は常に最新であることが必要です。
外国人雇用においては、在留カードの真偽や、カード内容について、細心の注意を払って対応するようにしましょう。