はじめに
今回のコラムは、初めて正社員として外国人採用を検討されている企業の担当者の皆さんにお届けします。
特に転職希望の外国人の面接が終わり、採用をしたいと考えているが、どんなことに気を付けて、どんなことを確認し、入社の日を迎えるべきなのか、という点について触れていこうと思います。
わかることは2つ、1つ目は技術・人文知識・国際業務の在留資格を持つ外国人の場合、2つ目は身分系と言われる在留資格の場合です。
なお、日本に住んでいる外国人を採用することを想定しています。
技術・人文知識・国際業務の在留資格保持者を正社員として採用する場合
この在留資格を持つ外国人は、原則的にオフィスワークやホワイトカラー系のお仕事を想定して生まれたものになります。例えば、ITエンジニア、プログラマ、経理、事務職、営業、通訳などがイメージしやすいでしょうか。
具体的に何を確認するのかをみていく事としましょう。
前職で就いていた仕事の内容と、皆さんの会社で就いてもらう予定の職種とが合致するかどうかの確認
ほとんどの場合は、確実に確認したほうが良い項目となります。
理由としては、前職と異なる職種で雇用することになると、日本で働いて良い仕事である「該当の在留資格での活動」から逸脱してしまうと、場合によっては不法就労助長罪となりうるからです。(次回の在留資格更新の時に不許可となるケースが多い傾向かと考えます。)
そして、まれに前職で就いていた職種と実際に入管に申請した内容と異なる場合もあるため、ぜひ確認はしておきたいものです。では、確認すべき書類を列挙します。いずれも採用者ご本人の了解を取り付けた上で進めていきましょう。
- できれば、採用者の前職の仕事に就いた際の在留資格変更(認定)申請書を確認する
- 採用者の履歴書、成績証明書と卒業証明書を取り付ける
取り付け後、確認することですが、前職の仕事に就いた際の在留資格変更(認定)申請からは、どのような職種でどのような仕事をしてもらうことを目的として申請したのかがわかります。
前回の申請内容と今回皆さんの会社でついてもらう予定の仕事が一致するかどうか確認しましょう。
採用者の履歴書、成績証明書と卒業証明書からは、どのような学校・大学等でどのようなことを、学んだか(専攻してきたか)、どのような成績だったか、卒業をしているかどうかがわかります。そして、それが履歴書と一致するかどうかを確認しましょう。
申請内容と今回就いてもらう予定の職種が合致するのかどうかわからない、もしくは違う気がする場合
前回の申請内容と今回皆さんの会社で就いてもらおうと思っている職種が異なる、もしくは曖昧な場合は、入管に「皆さんの会社で就いてもらおうと思っている職種」で、就労資格が交付されるかどうか明確にする手続きを取ることをお勧めします。この手続きは就労資格証明書交付申請といいます。
本人の主張と書類が明らかに違う場合
申請内容の職種と本人が経験してきた職務内容と明らかに異なる場合、または、学歴や専攻といった面で明らかに前職の仕事が、技術・人文知識・国際業務の在留資格で定める内容と逸脱する場合は、採用を控えたほうが無難かもしれません。
もし、どうしても雇い入れたい場合は、入管に確認するか、行政書士などの専門家に相談するのがベストです。
身分系の外国人を正社員として採用する場合
身分系、日本人の配偶者等、定住者、永住者、永住者の配偶者等といった在留資格の外国人を雇用する場合には、技術・人文知識・国際業務といった在留資格を持つ外国人と異なり、就労する仕事の内容や職種については一切の制限がありません。そのため、職種に関する確認は特段なくてもよいでしょう。
採用者が内定を受諾したら、雇用条件を明示しよう
正社員の場合、働き始めてからの行き違いを防ぐためにもしっかりと説明をしておきたいものです。
例えば、
- 給与支払いの方法(現金か口座振り込みか)
- 給与支払いのタイミング(月給、週給、日給など)
- 給与締めと支払い日(末締め、10日払いなど)
- 給料の額(昇給、ボーナス、各種手当など)
- 給与から控除される、所得税、住民税、社会保険、雇用保険の額とその意味合い
- 年次有給休暇の取り扱い(いつから対象となるのか)
- 一時帰国の取り扱い
特に、給与から控除される項目やその意味、そして、一時帰国を会社として認めているのか、認めているのであれば、認められる日数や有給休暇を充当できるのかなどは伝えて行きましょう。逆に、一時帰国が認められないのであれば併せて伝えましょう。
いかがでしたでしょうか。転職を希望する外国人を正社員で採用する際の注意事項が明確になったでしょうか。
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