ベトナム社会主義共和国国籍の技能実習生と特定技能1号
前回は、フィリピン共和国と特定技能について触れました。前回同様、お客様より問い合わせの多い手続きついて触れていきます。ここでは自社が登録支援機関や受け入れ機関として特定の手続きをしなくてはならなくなったことを想定して詳述して行こうと思います。なお、以下は国内にいる在留外国人について必要となる手続きであることを申し添えます。
ベトナム社会主義共和国国籍の技能実習生の場合
まず、採用が決まった段階で駐日ベトナム大使館へ行って、特定技能外国人表交付申請を行います。
- 特定技能外国人表交付申請に必要な書類
- 旅券写し身分事項ページ
- MOC(ベトナムとの間の特定技能制度に係る協力覚書) に基づく特定技能外国人表
- 技能実習 2号又は 3号修了証明書の写し又は修了を証明する書類
- 住民票写し(最近 3ヶ月以内発行されたもの)
- 返信用封筒宛名・送付先簡易書留代金分の切手を貼付
ベトナム社会主義共和国国籍の留学生の場合
次に留学生について見ていくこととしましょう。技能実習生と同じように駐日ベトナム大使館に行く必要があります。
- 特定技能外国人表交付申請書
- 旅券写し身分事項ページ)
- MOC(ベトナムとの間の特定技能制度に係る協力覚書) に基づく特定技能外国人表
- 日本における学校の最低 2年間等の課程の卒業証明書又は修了証明書の写し又は修了を証明する書類
※卒業見込の方の場合にも、卒業見込証明書(原本)の提出を受け付けますが、在留資格が交付される前に卒業証明書等を追加提出する必要があります。 - 特定技能外国人に向けた試験の合格証明書写し
- 住民票写し最近 (3ヶ月以内発行されたもの)
- 返信用封筒宛名・送付先簡易書留代金分の切手を貼付
なお、上記は日本語学校及びそのほか専門学校、大学など、2年以上在学していた留学生が対象となります。
既に特定技能1号である、ベトナム社会主義共和国国籍の方の転職については、上記二つの手続きは必要ありません。要は特定技能として働き始める時に、一人につき一回だけの手続きになるという事ですね。
最後に、フィリピン共和国とベトナム社会主義共和国の申請に関する違い
フィリピン共和国国籍の方を特定技能へ変更申請を行う際と大きく違うのは、募集を開始する前に、主に雇用企業の雇用条件についてフィリピン共和国側から承認を得なくてはいけないこととなります。
一方、ベトナム社会主義共和国国籍の方に対しては募集活動も、採用内定も行えることにあります。
さらに、実際に入管に在留資格変更申請を行う場合、フィリピン海外雇用庁POEAより取付を行った雇用契約書等は入管申請書類としての添付は必要とされていませんが、ベトナム大使館が交付した書類の添付については必要になります。
また、一番気になる送り出し機関や対象国に対する追加費用についても、2021年4月現在、ベトナム社会主義共和国に関しては発生しないとのことです。
フィリピン共和国国籍の特定技能の手続きはこちら
LINK: フィリピン共和国籍の特定技能1号を国内から受け入れる
なぜこういった手続きが必要になったのでしょうか。ベトナム政府も日本政府も、ベトナム人が在留資格に基づき正しく入国し在留することを目指しています。技能実習生として来日するベトナム人がブローカーに高額な費用を払わないと入国できなかったり、入国前に借金をして留学生として入国したがために勉学目的ではなく、その実、出稼ぎであり、アルバイトに明け暮れるという実態から、ベトナムの方たちを守ろうとするものだと理解する事ができます。
つまり、入国する方たちにはベトナム政府が承認した送り出し機関を通して、日本に既に在留する方たちについては、ベトナム政府に対し特定技能として働く方たちがどういった受け入れ機関で、キチンと必要なサポートを受けながら働く予定であることを報告すると言う意味だと理解をしたいものです。