1.人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
人材確保等支援助成金は外国人労働者の職場定着を目的とし、就労環境の整備に要する費用を助成する制度です。
具体的には、通訳費用や翻訳機器の導入、就業規則等の多言語化、苦情・相談体制の整備などが対象となります。
受給要件:
- 外国人労働者を雇用している事業主であることー社会保険・労働保険を適用しており、過去1年以内に労働関係法令違反がない(重大な違反があると申請不可)も条件
- 認定された就労環境整備計画に基づき、新たに就労環境整備措置を導入・実施すること―相談、苦情処理、情報提供、職場環境改善など
- 就労環境整備計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が15%以下であること―採用人数の平均によって判断されるため、複数人の採用を推奨
支給額は1制度導入につき20万円(最大4制度、上限80万円)です。導入・運用体制の整備が不十分な場合は返還リスクがあります。たとえば、相談マニュアルの作成、相談・申告フォームの多言語化などは表面的なものであれば、助成対象になりません。
制度の1つである、多言語の相談窓口に目を向けてみると、相談件数や内容を記録したり、相談を受けたあとの異文化交流研修の実施などといった取り組みが求められます。
参考:厚生労働省公式ページ:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
2.キャリアアップ助成金(正社員化コース)
有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用者を正社員に転換した場合に支給される助成金です。
以下のような外国人労働者が対象となります。以下を満たす外国人労働者が対象です。
- 有期雇用契約(3ヶ月以上)もしくは、無期雇用契約、または派遣労働者であること
- 転換日前6ヶ月以上、転換後6ヶ月以上継続雇用される見込みがあること
- 雇用保険が適用されていること
- 転換日直前の6ヶ月以内に会社都合退職などの事由がないこと
正社員への転換だけでなく、社内規程や雇用契約書の整備、役職名・賃金の明確化が必須です。
また、以下のような場合であれば助成対象となる点は知っておきましょう。事例:有期雇用(12ヶ月契約など)→ 正社員転換
- 永住者や就労に制限がない在留資格の契約形態を「有期契約」としていた場合、社内規定で正社員に転換することで対象となる
支給額は以下のとおりです。
- 中小企業:有期雇用から正社員化で60万円(80万円)
- 無期雇用から正社員化で30万円(40万円)
カッコ内の数字は、中小企業の数字です。
また、対象者は重点支援対象者と呼ばれ、以下の要件のいずれかを満たす必要があります。
- 雇い入れから3年以上の有期雇用
- 過去5年以内に正規雇用者となっている期間が1年以内・正規雇用されたことがない
- 派遣労働者、母子家庭の母や父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
加えて以下のような加算額も検討できます。
加算額に関しては、基本金額に加算され、条件が決まっているため、個々の状況に合わせた申請を行う必要があるといえるでしょう。
加算項目 | 加算額(中小企業) |
派遣労働者を正規雇用で直接雇用した場合 | 28万5,000円 |
母子家庭の母等または父子家庭の父の場合 | 9万5,000円 |
人材開発支援助成金の特定訓練修了後の転換 | 9万5,000円または11万円 |
参考:厚生労働省公式ページ:キャリアアップ助成金
3.人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
企業が労働者に対して業務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
対象の訓練がそれぞれのコースに要件が合致していたうえで、外国人労働者も雇用保険が適用されていれば対象となります。
支給額は、以下のようになっています。
- OFF-JT(外部研修):経費助成45%(60%)、賃金助成800円(1000円)
- 人材育成支援コースの中でも認定実習併用職業訓練では、中小企業であれば、経費 × 45%(上限20万円)、要件達成で経費 × 60%(上限25万円)。有期実習型訓練では、経費 × 45%(上限10万円)、要件達成で経費 × 60%(上限13万円)
また、次の賃金要件と資格等手当要件を満たした場合、15%加算される点は知っておきましょう。
- 賃金要件は、訓練終了日の翌日から1年以内に5%以上の増加が必要
- 資格等手当要件に関しては、訓練終了日の翌日から1年以内に就業規則と労働協約・労働契約等に規定したうえで、手当の支払いと3%の賃金増加が必要
参考:厚生労働省公式ページ:人材開発支援助成金
厚生労働省公式ページ: 人材開発支援助成金 (人材育成支援コース) のご案内
まとめ
外国人材の採用・定着には、国内人材の採用以上にさまざまな準備やコストが発生します。
しかし、すべて自社負担で行う必要はなく、国や地方自治体の助成金・補助金を戦略的に活用することで、負担軽減が可能です。助成金もそれぞれ対象や目的が異なります。
たとえば、人材確保等支援助成金は就労環境整備、キャリアアップ助成金は正社員化、人材開発支援助成金は技能習得支援などが代表的です。
企業の課題や外国人材の雇用段階に応じて組み合わせて活用しましょう。
よくわからず不安といわれる外国人労働者の確保を、10年以上外国人の採用支援をしてきたLTBが、格安の完全採用成功報酬型で外国人採用をサポートいたします!ぜひお問合せください。