はじめに
前回の記事で、日本のトラック運送業界における特定技能ビザの概要について説明しました。
今回は、その続編として、特定技能ビザを取得して外国人をトラック運送業界で雇用するための具体的な手続きについて、国内からの採用に特化して解説します。
特定技能ビザ取得から採用までの具体的なステップ
特定技能ビザを取得し、外国人をトラック運送業界で雇用するための具体的なステップを以下に示します。
ここでは、国内からの採用に特化した内容です。
Step1:試験に合格する
修了まず、外国人が以下のいずれかを達成している必要があります。
- 特定技能試験に合格:トラック運送業界の技能試験および日本語能力試験(JLPT N4以上)に合格する。
Step2: 雇用契約の締結
外国人が必要な試験に合格したら、企業はその外国人と雇用契約を締結します。
この時点で、労働条件や給与、勤務時間などを明確にしておきます。
Step3: 1号特定技能外国人支援計画の策定(特定技能1号のみ)
企業は、特定技能1号の外国人労働者のために、支援計画(参照:登録支援機関に全部委託をする場合)を策定します。
この計画には、生活支援や職場環境の整備、業務上の指導などが含まれます。
具体的には以下のような支援内容があります:
- 事前ガイダンス:労働条件等の情報を提供します。
- 生活オリエンテーション:日本での生活に関する基本的な情報(交通ルール、ゴミの分別方法、医療機関の利用方法など)を提供します。
- 住居の手配:住居の確保を支援し、契約手続きのサポートを行います。
- 日本語学習支援:日本語の学習支援や日本語教室への参加をサポートします。
- 相談窓口の設置:労働者が困ったときに相談できる窓口を設置し、問題解決をサポートします。
- 日本人との交流:日本の文化や習慣に適応できるよう、研修やサポートを提供します。
Step4:地方出入国在留管理局(入管)に在留資格変更許可申請を行う
雇用契約を締結し、支援計画を策定したら、地方出入国在留管理局に在留資格変更許可申請を行います。
申請には以下の書類が必要です:
- 雇用契約書支援計画書(特定技能1号のみ)
- 申請書類一式(申請者の個人情報、企業情報など)
Step5: 在留資格変更許可
地方出入国在留管理局による審査が行われ、在留資格変更の許可が下ります。
許可が下りたら、外国人労働者は正式に特定技能ビザを取得します。
Step6: 就労開始
在留資格変更が許可されたら、外国人労働者は正式に就労を開始します。企業は、初日からしっかりとしたオリエンテーションや研修を行い、外国人労働者がスムーズに業務を始められるようサポートします。
ここで知っておきたい登録支援機関について
受入れ機関は、特定技能外国人への支援を実施しなければなりませんが、当該支援業務については、登録支援機関に支援計画の全部又は一部を委託することもできます。
登録支援機関に支援計画の全部の実施を委託した場合は、受入れ機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。
参照元:出入国在留管理庁
まとめ
特定技能ビザを取得して外国人をトラック運送業界で雇用するためには、いくつかのステップをしっかりと踏む必要があります。
試験合格や技能実習修了から始まり、雇用契約の締結、支援計画の策定、在留資格変更許可申請を経て、最終的に就労開始となります。
特定技能外国人支援計画を策定し、生活や職場でのサポートを充実させることで、外国人労働者が安心して働ける環境を整えましょう。
これらの手続きを丁寧に進めることで、優秀な外国人労働者を確保し、企業の成長に繋げることができます。
次回の記事では、採用後の注意点について詳しく説明します。