建設業に関連する特定技能1号とは
特定技能1号とは、人材確保を促進するための在留資格のことです。
建設業をはじめとした人手不足が加速している12分野の業種で活用されている制度です。
在留期間は通算で5年、永住権の取得はできないといった条件が決まっています。
過去の建設業では、特定技能1号外国人制度を18職種で活用していたものの、次のような課題があったため、2022年に区分変更を行っています。
- 資格やスキルを取得しても違う業務を選べる選択肢がなかった
- 特定技能実習対象であるものの、特定技能制度では対象となっていない職種があった。(特定技能への移行が不可能)
現在では、特定技能1号を持つ外国人が区分内で活躍しやすい環境に変化しました。
また、技能実習生から特定技能1号への移行は次の要件を満たせば可能です。
- 技能実習の職種や作業内容が特定技能1号関連性がある
- 技能実習2号を良好に修了
技能実習生1号からスタートして、2号となってもらい、その後に特定技能1号・2号となるといったキャリアパスを築くこともできます。
建設業における18職種の詳しい内容はこちらから。
特定技能2号外国人になることもできる
特定技能1号から2号に在留資格を移行することも可能です。
特定技能2号となった場合には、在留期間の制限がなくなり、より長期目線の就業を目指せます。
また、永住権の取得も可能である点も特定技能1号との違いです。
特定技能2号となるためには、次のような条件を満たす必要があります。
- 評価試験に合格する
- 各職種で定められた1年から3年以上の実務経験を積む(工程管理やリーダーとしての役割)
そのため、特定技能1号から2号への移行を会社がサポートする場合は、2号の試験要件を満たせる経験を積ませなければなりません。
建設業で特定技能1号を採用するための流れ
建設業で特定技能1号外国人を採用するための流れは、以下のとおりです。
- 在留資格を確認し、人材募集を行う(求人サイトや人材紹介サービスの利用)
- 面接し雇用契約を結ぶ(特定技能雇用契約及び特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令の第一条を参照し、採用する人材にも内容がわかる通訳などの対応必須)
- 在留資格確認・申請と支援計画書の作成を行う(支援計画書では、日本語学習の機会提供や公的手続きへの同行なども具体的に策定する)
- 就業開始(在留資格の取得や変更後)
注意点としては、公共工事を請け負っている場合は従業員登録が必要、給与水準は日本人と同等にするなどといったポイントがあります。
企業が用意する書類に関しても、特定技能所属機関概要書、登記事項証明書の用意が必要です。
特定技能1号を採用する際の詳しい注意点や流れはこちらから。
特定技能1号の区分変更による3つの業務区分
ここでは、特定技能1号の区分変更について解説していきます。
区分変更によって、技能評価試験に合格すれば、業界内の別職種で活躍してもらうことも可能となりました。
また、基本的には、指導者の指示や監督を受けながら作業を実施することが前提です。
業務区分【土木】
特定技能1号外国人が土木分野で従事できる主な業務は以下のとおりです。
- 型枠施工
- コンクリート圧送
- トンネル推進工
- 建設機械施工
- 土工
- 鉄筋施工
- とび
- 海洋土木工
土木工事における足場の組み立てや解体、清掃・保守管理などの業務を任せられます。
たとえば、バックホウの点検や工具のメンテナンス、重機の操作などは業務範囲といえます。
また、鉄筋や材料の搬入といった業務でも活躍が見込まれるでしょう。
業務区分【建築】
特定技能1号外国人が建築分野で従事できる主な業務は以下になります。
- 型枠施工
- 左官
- コンクリート圧送
- 屋根ふき
- 土工
- 鉄筋施工
- 鉄筋継手
- 内装仕上げ
- 表装
- とび
- 建築大工
- 建築板金
- 吹付ウレタン断熱
コンクリートの圧送や左官、内装の仕上げなど、建築物の施工品質に関わる部分も任せることが可能です。
また、大型のクレーンの安全点検、施工後の保守管理なども業務として関われます。
建設業で、今後必要となるデジタル技術の活用やZEB・ZEHなどの環境に配慮した分野への参画も期待できるでしょう。
業務区分【ライフライン・設備】
特定技能1号外国人が建築分野で従事できる主な業務は以下になります。
- 電気通信
- 配管
- 建築板金
- 保温保冷
- その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業
電気設備工事や空調衛生設備でも、次のような業務であれば、特定技能1号外国人が活躍できるでしょう。
- 電気ケーブルや変圧器などの部品の搬入。場合によっては、品質管理なども任せられる。
- エアコンやヒートポンプなどといった空調衛生設備の保守・管理。専門性が高いものの、監督者の指導があれば活躍できる。
- 建物の地下に配管を敷設する場合の掘削が可能。配管に関しては、電気・空調・プラントまで業務範囲に入っている。
まとめ
特定技能1号の区分変更によって、建設業で働く外国人労働者の業務範囲は大きく広がりました。
たとえば、型枠施工や鉄筋施工、電気通信工事といった幅広い分野での活躍が期待できます。
また、施工品質の向上や安全性の確保が期待されるため、特定技能1号外国人は、これまで以上に責任ある役割を担えるようになったといえるでしょう。
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