はじめに
今回のコラムは当社の顧問行政書士であるフェロー行政書士事務所の行政書士、大塚香織先生に執筆をお願いしています。日々外国人と一緒に働いている人事や現場の皆さんにとって前から気になっていたことや、実際どうなのだろうという点について触れていくこととします。今回のトピックは「特定技能外国人に管理職という仕事をさせて良いかどうか」について詳述していきます。
外食分野における特定技能外国人の想定されうる管理職とは
特定技能の分野別運用要領には、次のように規定されています。「1号特定技能外国人が従事する業務 外食業全般(飲食物調理,接客,店舗管理)」とされているほか、「当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:店舗において原材料として使用する農林水産物の生産、客に提供する調理品等以外の物品の販売等)に付随的に従事することは差し支えない」とされています。
*あくまで付随的であることに注意が必要です。
つまり、外食分野に従事する特定技能外国人は、「飲食物調理」のみ、「接客」のみ、「店舗管理」のみなどに従事することは想定されておらず、外食業全般の業務に従事することが想定されています。つまり、「店舗管理」が想定されている以上、その範囲内で管理業務に従事することは可能です。
また、「飲食物調理」、「接客」のリーダーポジションなども範囲内であると考えられます。ただし、管理業務を専門に行うようになってしまうと、「外食業務全般」の業務を行うという範囲から外れてしまいますので、注意が必要です。
外食分野での分野別運用要領の具体的な記載内容
飲食物調理、接客、店舗管理は、例えば、それぞれ次のようなものが想定されます。
- 飲食物調理:客に提供する飲食料品の調理、調製、製造を行うもの(例:食材仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製 等)
- 接客:客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの(例:席への案内、メニュー提案、注文伺い、配膳、下膳、カトラリーセッティング、代金受取り、商品セッティング、商品の受け渡し、食器・容器等の回収、予約受付、客席のセッティング、苦情等への対応、給食事業所における提供先との連絡・調整 等)
- 店舗管理:店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの(例:店舗内の衛生管理全般、従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務、従業員の指導・研修に関する事務、予約客情報・顧客情報の管理、レジ・券売機管理、会計事務管理、社内本部・取引事業者・行政等との連絡調整、各種機器・設備のメンテナンス、食材・消耗品・備品の補充、発注、検品又は数量管理、メニューの企画・開発、メニューブック・POP 広告等の作成、宣伝・広告の企画、店舗内外・全体の環境整備、店内オペレーションの改善、作業マニュアルの作成・改訂等)
外食分野での業務内容まとめ
外食業分野においては、外食業全般(飲食物調理,接客,店舗管理)に従事する者を受け入れることとしていることから、1号特定技能外国人は試験等で立証された能力を用いてこれらの業務に幅広く従事する必要があります。ただし,職場の状況に応じて,例えば,許可された在留期間全体の一部の期間において調理担当に配置されるなど、特定の業務にのみ従事することも差し支えありません。
**外食分野以外も、管理職的な業務が認められるケースは多いですが、それぞれに注意すべき点がありますので、出入国管理庁等行政機関で明示している分野別運用要領等をご参照になるか、お問い合わせください。