はじめに
新型コロナウイルスの水際対策が3月1日より緩和され、外国人の新規入国が始まっています。今回の緩和は観光者を除く外国人を対象に、引き続き厳格な検疫措置と1日当たりの入国者数を制限しながらの再開となります。
外国人受け入れの動向は、コロナの影響により長期的に停滞が続いていましたが、今回の入国再開は、自国で待機している外国人や外国人雇用を検討している企業の方々に前向きな流れとなってきています。
外国人雇用活動においては、今後のコロナ感染拡大のリスクを踏まえて、水際対策の更新と外国人受け入れ制度について情報を確認しながら手続きを行うことが必要となっています。
入国再開について
現在、新規外国人の入国は、1日当たりの入国者数の上限をこれまでの3500人から5000人に引き上げられています。
出入国在留管理庁によりますと、コロナ禍の入国制限の間、在留資格の許可を受けながらも自国で待機していた外国人が約40万人おり、入国再開と共に徐々に技能実習、特定技能、留学生での活動が始まる見込みとなっています。
入国の要件について
新規外国人の入国の要件については、オミクロン株の感染拡大の地域や国ごとに対して、ワクチン接種証明書や72時間以内の検査証明書などの提示、また入国者健康居所確認アプリの活用などがあります。
●待機期間の要件について
新規外国人の入国の要件は、3日間待機の対象国以外からの入国で、3回目のワクチン接種修了者でワクチン接種証明書を提示した場合は待機期間が免除されます。
入国してから日本国内での交通機関の利用には制限がありません。
オミクロン株の拡大で影響のある国からの入国者に対しては、検疫所の宿泊施設での3日間待機期間が必要となっています。
なお、対象国からの入国者でも3回目のワクチン接種を終了している場合は、自宅待機と入国者健康確認センターが行うフォローアップに対応することが必要です。
対象国のリストは、随時更新されていますので確認が必要となります。
※3日間待機の8つの対象国:エジプト/韓国/サウジアラビア/スリランカ/トルコ/パキスタン/ベトナム//ロシア
※フォローアップ:入国者健康確認センターアプリ・MySOSによる報告が必要です。
位置情報の確認、健康状態の報告、居場所の確認など、自宅待機中に検査実施と結果をアプリで報告し、陰性であれば待機解除となります。
※ワクチン接種3回目終了 → 待機期間なし
※ワクチン接種3回目していない→ フォローアップが必要
●検査証明書の要件について
出国前72時間以内の検査証明書については、検査証明書の様式は所定のフォーマットを使用し提出します。所定のフォーマットではなく任意の様式の場合には、以下の内容を確認しましょう。
- 有効と認められる検体および検査方法等の所定の事項の確認をしましょう。
- 検査証明書の記載内容に記入漏れ等の不備がないか確認をしましょう。
- 検査証明書の確認が円滑に行われるように、任意のの場合には検体と検査方法等の必要事項該当箇所にマーカーをしましょう。
- 医療機関・医師名、印影については、必ずしも各国で取得できない事情があることから、検疫官の判断により、有効な証明とみなすことがあります。
入国者健康居所確認アプリ・MySOSの活用
入国者健康居所確認アプリ・MySOSの活用は、コロナ感染防止とルール徹底のために勧められています。日本へ入国する外国人は、事前にアプリをインストールしておくと良いでしょう。また、アプリ活用のために入国時に空港検疫所にて、スマートフォンの確認があり、所持していない場合には、空港でレンタルすることができます。
●自宅待機中の報告
新規入国の外国人でワクチン3回目接種が終えていない場合には、入国者健康居所確認アプリ・MySOSを活用して自宅待機中に待機解除できるまで検査報告をすることが必要です。
自宅待機中にアプリによる陰性結果を提示できない場合は、待機期間は7日間となります。
●空港での検疫手続きの事前登録
アプリによる事前登録は、空港の検疫体制の強化のために運用されています。コロナ感染のリスクを抑えながら、新規外国人の往来を徐々に通常通りに緩和して行く試みとなっています。
入国前にアプリを活用して検疫手続きの一部を事前に済ませることができます。搭乗便到着予定日時の16時間前までにアプリ上での事前申請をすると、入国時での手続きがかんたんになります。
成田国際空港、羽田空港、中部国際空港、関西国際空港、福岡空港での利用が可能です。
在留資格証明書の取り扱いについて
今までの入国制限により滞っていた在留資格証明書の手続きについては、対象の外国人の状況別に、特例の措置が行われています。
出入国在留管理庁の申請手続きでは、処理期間およそ2週間程で対応しています。
●在留資格証明書の有効期限が過ぎてしまった外国人
通常、在留資格証明書は3か月間有効ですが特例として、以下の内容で対応しています。
以前と同じ申請内容に変更がない外国人が対象となります。また、入国予定日が在留資格認定証明書の有効期限が切れてしまう外国人も対象となります。
申請期限は2022年7月31日以降までとなり期日は現在公表されていません。
必要書類
- 申請書
- 受入機関等が作成した理由書
- 交付済みの在留資格認定証明書
- 2020年1月1日~2022年1月31日までに作成された在留資格認定証明書は、2022年7月31日まで有効なものとする。
- 2022年2月1日から2022年7月31日までに作成された在留資格認定証明書は、作成日から6か月間有効なものとする。
●在留資格証明書の申請中の外国人
日本での活動開始の時期を変更する場合、原則として受入機関が作成した理由書を添付して審査が行われます。
●再入国許可による出国中にコロナ禍で入国できなかった外国人
再入国許可による入国期限が2020年1月1日以降で在留期限を経過した場合、改めて在留資格認定証明書交付申請を行う際は、原則として申請書および受入機関作成の理由書を添付して審査が行われます。再入国出国前から,活動内容や身分関係に変更がない外国人が対象となります。
必要書類
- 申請書
- 受入機関等が作成した理由書
- 在留カードの写し
●入国制限の再開による動き
自国で待機を余儀なくされていた外国人の状況では、経済的な理由から入国制限のない他国への就労に移行したケースや、入国再開とともに日本入国の準備を始めている外国人など、個々に対応は様々です。
海外の現地送り出し機関や日本語学校では、送り出しの準備または日本語学校の活動が再開しています。
また、外国人留学生の受け入れを優先的に行う対策では、航空機の空席利用による留学生専用の新たな入国枠を設け、文部省が公表する待機留学生11万人受け入れが促進されています。
技能実習生や特定技能外国人をサポートする機関においては、外国人の在留資格に関わる手続きの対応に、個々の状況に合わせて申請業務を再開しています。
まとめ
新規外国人の入国制限緩和について、現在行われている対策について説明いたしました。
入国の再開では、通常とは異なる入国手続きがあるため、申請書類の受理までの所要時間を踏まえて外国人のサポートが必要となっています。
外国人雇用活動では、受け入れ企業と待機中の外国人の状況を踏まえて、あらためて調整しながらの雇用活動をすすめていきましょう。