もはや「日本人だけで経営する」は成立しなくなりつつある
人口統計と現場の実感として、「日本人労働力だけでは企業は回らない」状況に変化しつつあります。今後は、「人が減っていく」ことを前提とした人材戦略が不可欠です。
その最も現実的な解として、外国人材の活用が再評価されているというのが現状です。かつては、「外国人は文化や言語の違いがあるから、余裕のある企業だけが採用する」と考えられていました。
しかし、今は余裕がある企業ではなく、「人手が足りない現場から優先的に採用せざるを得ない」状況です。
たとえば、以下のような企業ではすでに「外国人なしでは業務が回らない」状況が常態化しているといえるでしょう。
業種 | 外国人依存度 | 備考 |
外食産業 | 10%(全体の10%) | 特定技能・留学生バイトの存在が大 |
建設業 | 7.1%前後 | 技能実習・特定技能の担い手多数 |
製造業 | 20〜35%(5人に1人) | ライン作業、検品、梱包等で活躍 |
物流・運送業 | 増加傾向 | 永住者・定住者層が活躍 |
「外国人材を採用しないと持続できない」業種が増加しつつある
以下の条件に1つでも該当する企業は、外国人材の導入を今すぐ検討すべき段階にあります。
- 求人を出しても日本人からの応募がない
- 若手の定着率が著しく低い
- 熟練者の高齢化が進み、技能継承が困難
- 繁忙期にパート・アルバイトの確保が追いつかない
企業の制度や体制の課題もあるものの、「人がいない」こと自体が事業成長の制約条件になっているといえるでしょう。
外国人材の活用は、そのボトルネックを外す制度化された解決手段の1つです。
生産年齢人口の減少が止まらない
少子高齢化は、単なる社会問題ではなく「企業経営に直結するリスク」です。実際のデータを見てみましょう。
年次 | 生産年齢人口(15〜64歳) | 増減(対1995年比) |
1995年 | 約8,716万人 | — |
2023年 | 約6,740万人 | ▲約1,976万人減 |
2040年(予測) | 約5,768万人 | ▲約2,948万人減 |
参考:総務省統計局「労働力調査」/厚生労働省「これまでの議論の整理について」
人口の減少を比較してみると、日本は「毎年60万人以上の労働者を失っている」状況にあります。
たとえば、中堅規模の製造業が毎年1000社以上、全社一斉に人がいなくなるような規模だといえるでしょう。
また、働ける人が減っていく一方で、医療・福祉・物流・建設といった現場中心の労働集約産業は、より多くの人手を必要としています。たとえば、高齢者施設の現場では、要介護者3人に対して職員1人の体制が求められるという運営基準があります。加えて、地方の介護施設では「夜勤ができる職員が確保できず、1人で10人以上を対応せざるを得ない」といった状況も起きています。
人手不足だけでなく、安全性やサービスの質にも直結する深刻な課題です。
外国人採用が「現実的な選択肢」となる理由
少子高齢化による人材不足が深刻化する中で、外国人採用はかつての「補助的な選択肢」ではなくなりました。
制度の整備や在留資格の柔軟性、実務上の効果を含めると、外国人材は、企業が直面する人手不足に対する現実的かつ有効な解決策となりつつあります。
ここでは、外国人採用が「課題解決策」として、多くの企業に選ばれている背景や制度的メリットなどについてみていきましょう。
各産業に広がる人材不足の現実
前章で触れたように、日本の生産年齢人口はすでに1,000万人以上減少しており、今後も加速度的に労働力不足が進むことが予想されます。
その影響はすでに、現場労働を中心とする産業に深く及んでいるといえるでしょう。とくに深刻なのは、製造業・建設業・運送業・接客業などの労働集約型産業です。
以下に、主要産業ごとの人材状況と採用の課題をまとめました。
業界 | 人材状況の特徴 | 主な課題・傾向 |
製造業 | 若年層の入職減・定着率低下 | 技能継承断絶、地方工場の稼働困難 |
建設業 | 高齢化が極端、若年入職者が不足 | 技術者の引退と共に事業縮小 |
運送業 | ドライバーの平均年齢上昇、2024年問題が顕在化 | 長時間労働規制で配送能力減少 |
接客・外食 | 非正規中心、若手の短期離職が多い | 店舗運営維持困難、営業時間短縮も発生 |
介護 | 要介護人口の増加に対し職員数が追いつかない | 法定配置基準を満たせず、施設開設停滞 |
こうした状況の中、すでに「日本人だけでは採用が成立しない」という状況に達しており、外国人材の導入が人材確保の現実的な手段として選ばれています。
まとめ
日本の労働市場は人口減少によって構造的な人手不足に直面しており、とくに現場中心の産業では採用難が深刻化しています。
このような環境下では、外国人材の活用はもはや選択肢ではなく、企業の事業継続を左右する必要条件となっています。
制度面や現場での活躍実績から見ても、外国人採用は十分に現実的かつ効果的な解決策です。
次回は、実際に外国人材を導入する際の制度上の注意点や、採用・育成の成功事例をもとに、具体的な進め方を解説します。
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