技能実習生が応募してきた
今回は、新型コロナウィルスの影響で帰国が困難になってしまっている技能実習生から応募が来てどうしたらいいのか分からないという声を聞き、具体的な対処方法を纏めることとしました。今回のコラムは以下のような雇用する企業を想定しています。
- 外国人雇用に興味があるもしくは雇用実績がある。
- 登録支援機関のサポートが得られる、もしくは自社が登録支援機関である。
- 技能実習生として受け入れてきたが、特定技能として継続して雇用したい。(該当14分野のみ)
技能実習生を受け入れてきた企業はご存知かと思いますが2号が修了したところで、今までは(一旦)帰国してから、特定技能で入国するかどうするかという議論があったかと思います。2021年4月現在、いまだ新型コロナウィルスの影響でかなりの国からの入国が制限されている現状、いったん帰国してもらうというのはなかなか現実的ではなく、2号修了時点で何があれば雇用し続けられるのか、もしくは新たに雇用できるのかについて詳しく見ていくことにしましょう。
技能実習生から特定技能へ変更は可能なのか
繰り返しになりますがコロナの影響があり彼らに一旦帰国してもらわずとも、というよりむしろ帰国できないがために、特定技能への切り替えは可能という措置が取られています。条件としては技能実習2号を修了していることになります。
そのため、技能実習を優良に終了していることを証する書類、技能実習評価試験の専門級合格証や随時3級技能検定合格証などをまずとりつけましょう。彼らが就いている作業によってその合格証の種類がそれぞれ異なりますが、どんな分野での移行であれ特定技能へスライドする場合、上記合格証は必須になります。
以下に技能実習で就いていた作業から特定技能1号へ無試験持ち上がりが可能な場合と、技能実習で就いていた作業と特定技能で雇用したい職種が異なる場合について図示します。
技能評価試験無試験持ち上がりが可能な場合 | 特定技能1号の14分野に技能実習で行ってきた作業が含まれていること。 (例:バン製造での随時三級を取得 >> 特定技能飲食料品製造分野へ) |
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技能評価試験無試験持ち上がりできない場合 | 技能実習で行っていた作業グループと今回雇い入れしようと思っている特定技能の分野が異なる場合、就きたい職業の特定技能分野の技能評価試験合格が必要になります。
(例:電子機器組み立てでの随時三級を取得 >> ビルクリーニング分野で雇用したい場合など) |
さて、日本語能力に関する試験の合格は必要なのですか?という質問を受けることがありますが、技能実習2号を修了、つまり上記試験に合格していれば日本語能力に関する試験合格は必要ありません。
技能実習2号が修了し特定技能へ移行が可能なことを証する書類
技能実習生2号が修了していれば特定技能へ移行できることがわかってきました。そもそも技能実習2号が修了していることとはどういうことなのかみていくことにしましょう。以下のように技能実習生には3つの試験があります。
技能実習1号 | 基礎級技能検定の合格 |
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技能実習2号 | 随時3級技能検定もしくは技能実習評価試験の専門級合格 |
技能実習3号 | 随時2級技能検定もしくは技能実習評価試験の上級合格 |
このうち2号の「随時3級技能検定合格証」か「技能実習評価試験の専門級合格証」を本人が保有していれば、特定技能へ移行する準備ができていることとなります。
**新型コロナウイルスの影響で特例措置が発せられたり、必要な書類が増えたり減ったりしていることが多く確定的なことは言えません。個別の判断が必要な場合が多いため信頼のおける行政書士や弁護士などプロにご相談ください。(弊社へのお問い合わせも可能です。)
いつから働かせられるのか
作業経験のある即戦力に来てもらえることが決まったからと言って、まだ安心はできません。在留資格変更手続きが終わるまでにとりあえず働いてもらおうと言ったような扱いはできないことに留意が必要です。例えば、特定技能に特有な事情としてアルバイトや契約社員といった短期間/短時間の雇用は基本的には認められていません。彼らを採用できたら次は特定技能を雇い入れる場合のステップが必要になります。ステップについては、以下のリンクを参照してみてください。
特定技能1号の受け入れフローと支援内容で確認
LINK: 特定技能1号の受け入れフローと支援内容
また、2021年4月現在、フィリピン共和国とベトナム社会主義共和国の国籍の方を特定技能で雇用しようとする場合、追加で手続きが必要となっています。
フィリピン共和国の場合には募集を始める前に必要な手続きがあるとのことで、併せてこちらも確認してみてください。
LINK: フィリピン共和国籍の特定技能1号を国内から受け入れる
**なお、コロナの影響が長引き2021年4月現在、技能実習2号が修了してしまっていて帰国できないや、新たに仕事を見つけることが困難なために特定活動という在留資格に変更し就労が許可され就労している場合もあります。(帰国困難者の取り扱い/入国管理庁)