特定技能2号の在留資格を持つ場合、日本で長く働くことが可能です。
また、企業としても人材不足の解消だけでなく、将来的に企業を存続していくための人材として期待・育成しやすくなります。
本記事では、特定技能2号の在留資格を取得する際に必要となる、特定技能2号移行試験の受験者数と合格率についてみていきましょう。
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特定技能2号移行試験とは、在留資格の1つである特定技能2号を取得するための試験のことです。
一定の専門性とスキルを保有したうえで、各分野の規定された条件を満たさなければ、受験できない点も特徴です。
特定技能1号と比較すると、次のような違いがあります。
永住権の取得が可能(更新はあるが在留年数の制限もない)
受入機関や登録支援機関の支援が不要
受験する段階で、各分野のリーダー経験が求められます。
そのため、「外国人を受け入れてより長く活躍してもらいたい」という場合には、必須の在留資格だといえるでしょう。
特定技能2号移行試験における各分野の受験者数と合格率
ここでは、特定技能2号移行試験における受験者数と合格率をみていきましょう。
建設業
建設業の特定技能2号移行試験における受験者数と合格率は以下のようになります。
2号土木
2号建築
2号ライフライン・設備
受験者
109人
125人
23人
合格者
23人
29人
4人
平均合格率
21.1%
23.2%
17.3%
※一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の2024年8月に行われた日本の建設分野特定技能評価試験結果から
建設業の特定技能2号移行試験の内容は、次の2つです。
学科試験(4択式)40問
実技試験(4択式)25問
試験内容をみてみると、基本的な知識を問われる問題が多いといえます。
しかし、合格率を考えると、実際の作業に必要なスキルと知識として問われている内容に差が生じていると予想されます。
また、建設業の特定技能2号は、職長経験(リーダー経験)が必須です。
そのため、合格率の向上には、スキルというよりも日本語の文章に対するサポートが必要と考えられます。
製造業
製造業の特定技能2号移行試験における受験者数と合格率は以下のようになります。
機械金属加工
電気電子機器組み立て
金属表面処理区分
受験者
143人
23人
4人
合格者
67人
8人
1人
平均合格率
46.9%
34.8%
25.0%
※特定技能製造業の2024年2月に行われた製造業分野特定技能2号試験結果から
製造業の場合、特定技能2号評価試験を受けて2号の在留資格を取得する場合は、次の条件を満たす必要があります。
ビジネス・キャリア検定3級の取得(生産管理プランニングか生産管理オペレーション)
製造分野特定技能2号評価試験の合格
日本国内に拠点がある製造業の現場において3年の経験がある
特定技能2号評価試験の結果だけをみると、機械金属加工では4割以上の人々が合格しており、より専門的な言葉が出やすい区分の合格率が低いといえるでしょう。
受験する段階で3年以上の実務とリーダー経験があるため、スキル不足というよりも試験対策のサポートができていない企業が多いと予想されます。
製造業の2号在留資格にはもう1つ取得できるルートがあります。詳しい内容は特定技能製造業のページへ。
農業
農業の特定技能2号移行試験における受験者数と合格率は以下のようになります。
耕種農業全般
畜産農業全般
受験者
306人
106人
合格者
84人
51人
平均合格率
27.4%
48.1%
※農業技能測定試験(ASAT)の2024年7月に行われた農業技能測定試験結果から
農業は、耕種農業と畜産農業の2つにわかれています。
テキストはどちらも分野ごとに特化した内容となっており、安全衛生管理の知識も必要です。
安全衛生管理は、テキストの内容をみる限り、基本的な法律や安全配慮のポイント、作業指示者として必要な知識を問うものがほとんどです。
実際に、数年働いていれば知っている知識を改めて日本語で解説しているため、日本語の習熟度が合格率に影響していると思われます。
特定技能1号試験の内容について知りたい方はこちらから。
漁業
農業の特定技能2号移行試験における受験者数と合格率は以下のようになります。
漁業
養殖業
受験者
7人
2人
合格者
3人
1人
平均合格率
42.8%
50%
※大日本水産会の2024年8月に行われた漁業技能測定試験から
漁業に関しては、他の分野と比較して合格率が高いといえます。
受験人数が少ないものの、実務経験がなければ受けられない点から考察すると、受験者のスキルはある程度高いと判断できるでしょう。
また、特定技能2号試験を受験するためには、次のような条件をクリアしなければなりません。
2号漁業技能測定試験(漁業または養殖業)
日本語能力試験N3以上
日本国内での管理者として漁業又は養殖業の2年以上の実務経験
日本語能力の証明と実践的なスキル・知識が求められているといえるでしょう。
とくに、合格率が高いのは、日本語能力試験N3以上が必須要件となっているためだと予想されます。
そのため、漁業に関しては、特定技能2号の試験対策を企業としてサポートできれば合格率はより向上するでしょう。
漁業の特定技能1号について知りたい方はこちらから
ビルクリーニング
全国ビルメンテナンス協会が開催した、ビルクリーニングの特定技能2号移行試験における2024年5月の受験者数は30名、合格者は3名、合格率は10%でした。
ビルクリーニングの特定技能2号移行には次のような条件を満たす必要があります。
特定技能2号評価試験に合格する
ビルクリーニング技能検定1級に合格する
ビルクリーニング検定に関しては、外国人を対象としたものでなく、日本人も対象となる資格です。
外国人が1級を取得するためには、特定技能1号からスタートし、取得までに最短で3年ほどの経験が必要となります。
試験は1年に1回の開催であるため、最短で1年目で3級を取得し、2年目で2級を取得した場合は、3年目で受験資格が得られます。
そのため、企業は特定技能2号評価試験だけでなく、ビルクリーニング技能検定に合格できるようなサポートを行わなければなりません。
まとめ
特定技能2号移行試験の受験者数と合格率は、各分野で大きく異なります。
しかし、特定技能2号を取得するためには、リーダーとしての実務経験に加えて、専門的な知識技術や日本語能力が求められる点は同様です。
別の資格取得も必須となっている分野もあるため、企業は適切な試験対策を提供したうえで、日本語能力の向上をサポートすれば、合格率向上につながるでしょう。
そして、特定技能2号の取得は、外国人のキャリア形成だけでなく、企業の持続可能な成長にも大きく影響を与えます。
そのため、特定技能2号取得を目指す場合は、試験対策とサポート体制の強化を念頭におきましょう。
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