育成就労制度が開始されると、転職ができなかった技能実習生にとって、制度的には正しいものの、会社を経営する、もしくは、人材を確保していく企業の皆様にとって、今まで力になってくれていた技能実習生に転職されてしまうのではないかといった心配の声を聞くことが多くなりました。
51.1%の企業が正社員の「人手不足を感じる」と回答する現在。特に地方の中小企業では、人手不足が原因で倒産するケースが年々増加しています。
そこで今回のコラムは、育成就労制度開始でどのような影響が出そうか、技能実習生以外に人材確保の道はないのかといった点から、外国人雇用に向き合って10年のLTBが経験を元に詳述していきます。
育成就労開始で想定されること
育成就労制度が開始されると、外国人は転職(転籍)が可能になります。この転職の意味合いについて、特定技能の転職と入管の考えをベースにすると、想像の域を出ませんが、以下が推察されるかと考えます。
入社後1〜2年を経過した後でないと転職できない
働くために日本にいる外国人の在留を認めている入管のスタンスを前提とした時、
転職先がない育成就労外国人の転職を認めにくいのではないか
退職して、数ヶ月以内に転職先が見つからないということは認めづらいのではないか
といったことが指摘できそうです。一方、1〜2年を待たずして、やめる場合には「止むを得ない事情」がある場合には認めているとしています。
そのため、企業の皆様には、無闇な人材流出を懸念されるよりも、長く活躍してもらえる社内の制度作りに視点を移していただくことをお勧めしていきたいと考えます。
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技能実習生だけではない外国人材確保術
建設業に携わる皆さんにぜひ、ご検討いただきたいのが、現場の人材を確保するのは何も技能実習生(育成就労)や特定技能だけではないと言う事に尽きます。
逆に言うと、技能実習生は廃止される、特定技能の受け入れ上限人数は決まっているといった側面から見ても、他の在留資格でも人材を確保し、戦略的に、かつ長期的に安定的な人材確保という戦術を手に入れる事が肝要ではないでしょうか。
我々がお勧めするのは広く他の在留資格も見にいくと言う事になります。
技能実習、特定技能の他、建設業に従事できる在留資格は以下の通りです。
建設業に携わる外国人の在留資格ごとの人数
技術・人文知識・国際業務
13,212
特定技能
12,333
特定活動
7,651
技能実習
88,830
資格外活動
844
資格外活動のうち留学
382
永住者
10,764
日本人の配偶者等
3,605
永住者の配偶者等
1,334
定住者
4,973
不明
2
建設業に携わる外国人の国籍
ベトナム
62,026
中国(香港、マカオを含む)
13,204
フィリピン
16,215
ネパール
1,870
ブラジル
4,047
インドネシア
23,549
韓国
1,409
ミャンマー
6,399
タイ
1,781
ペルー
1,272
フランス、ドイツ、イタリア、カナダ
オーストラリア、ニュージーランド、ロシア
610
アメリカ
269
イギリス
58
その他
12,599
出典:厚生労働省外国人雇用状況
できるだけ多くの外国人材を確保するために
建設業に携わり、外国人材を多く、しかも長く活躍していただきたいとする企業の皆さんにお伝えしたいことは大きく2つです。
季節や工事受注状況に加え、業務内容を細かく検分し、外国人材の在留資格から採用を考える。
技能実習生や特定技能に限らず、義務化されるであろう建設キャリアアップシステムを活用して、技能者としての外国人を育成していく。
いかがでしたでしょうか。私たちLTBでは、建設業の皆さんに安心安全に外国人材を確保していただくためにお問い合わせ窓口を用意しています。気になった方はぜひ、お問い合わせください。
51.1%の企業が正社員の「人手不足を感じる」と回答する現在。特に地方の中小企業では、人手不足が原因で倒産するケースが年々増加しています。
