人手不足の建築業界では、外国人雇用の動きが活発になってきています。そこで、外国人を雇用する際は、どのような点に注意して雇用管理をして行けばよいのか?本記事では、外国人雇用を成功させるためのポイントと手続きの流れや注意点を解説していきます。
51.1%の企業が正社員の「人手不足を感じる」と回答する現在。特に地方の中小企業では、人手不足が原因で倒産するケースが年々増加しています。
人手不足の建築業界では、外国人雇用の動きが活発になってきています。
そこで、外国人を雇用する際は、どのような点に注意して雇用管理をして行けばよいのか?本記事では、外国人雇用を成功させるためのポイントと手続きの流れや注意点を解説していきます。
建築業界の外国人材の受け入れ統計データ
国土交通省の「建設分野における外国人材の受入れ」のデータによりますと、表をご覧の通り、外国人の人数が近年増加傾向にあります。
※建設分野に携わる外国人数
年
建設業
技能実習
特定技能
外国人建設就労者
2011
12,830
6,791
–
–
2012
13,102
7,054
–
–
2013
15,647
8,577
–
–
2014
20,560
12,049
–
–
2015
29,157
18,883
–
401
2016
41,104
27,541
–
1,480
2017
55,168
36,589
2,983
2018
68,604
45,990
4,796
2019
93,214
64,924
267
5,327
2020
110,898
76,567
2,116
3,987
2021
110018(↓)
70488(↓)
6,360
1767(↓)
建設業界で働く外国人は、約11万人、全産業の約6.4%となっています。
在留資格別で見ると、「技能実習」2021年の受け入れ人数は約7万人。
「特定技能」は、2019年度に制度がスタートしてからコロナ禍の入国制限の影響もありましたが、受け入れ人数は年々増加傾向です。
2021年の受け入れ人数を見ますと、2020年より減っていますが、「特定技能」での受け入れに関しては、増加の数値となっています。
また、2022年4月に全国で初めて中国国籍の方が、建設分野の「特定技能2号」に認定されたことがもあり、「特定技能」の建設分野の受け入れが今後、活発化していくことが期待されています。
なお、2015年から、オリンピック東京大会の一時的な建設需要のために「外国人建設就労者受入事業」を行っていましたが、2022年で終了となっています。
加えて、建設業界の「国籍別」と「職種別」の受入状況(2022年3月末)についてまとめておきます。外国人を雇用する際に参考にして下さい。
国籍別・特定技能受け入れ状況
国籍
人数
ベトナム
4,547
フィリピン
601
中国
406
インドネシア
370
カンボジア
141
ミャンマー
113
タイ
88
ネパール
38
その他
56
合計
6,360
職種別・特定技能受け入れ状況
建設機械施工
1,118
型枠施工
988
鉄筋施工
985
内装仕上げ
423
左官
377
建築大工
356
配管
254
コンクリート圧送
141
建築板金
89
表装
50
屋根ふき
41
保温保冷
37
鉄筋継手
19
土工
22
電気通信
8
トンネル推進工
2
合計
6,360
建築業界で雇用できるビザの種類
では、続いて建築業界で雇用できるビザについて確認しておきましょう。
在留資格の種類は、従事する業務範囲に合わせてチェックが必要です。
外国人雇用において、在留資格の管理に不備がないように対応していくことが必要となります。
在留資格
種類
在留期間
職種
要件
技能実習
1号
2号
3号
1号(1年)
2号(2年)
3号(2年)
22職種33作業
18歳以上
技能実習制度の趣旨に適用すること
特定技能
1号
2号
1号(5年)
2号(制限なし)
19業務
特定技能評価試験と日本語試験に合格
技能ビザ
–
3カ月/1年/3年/5年
外国様式の建築または土木工事
10年以上の実務経験
外国人の指揮監督下で5年以上の実務経験
技人国ビザ
–
3カ月/1年/3年/5年
設計・施工管理・事務作業
大学卒業(学士の称号取得)
日本の専門学校卒業(専門士の称号取得)
※海外の専門学校は不許可
身分系ビザ
–
永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等
制限なし
各在留資格ごとの要件に適用すること建築業に関わる要件は、雇用先の応募要項に適用すること
留学生
–
4年3か月/4年/3年3か月/3年/2年3か月/2年/1年3か月/1年6か月/3か月
単純労働
資格外活動の許可
週28時間以内の労働時間
建設業界で雇用する際の手続き方法と注意点
建築業界で外国人を雇用する際は、以下のステップを踏んで手続きを進めていきます。
人材募集→書類選考・面接→雇用契約→在留資格申請→入国→就労開始
人材募集については、求人サイトやハローワーク、自社HPなどを利用して求人を集めます。
面接では、学歴や実務経験について確認し、雇用契約においては外国人の理解を得て次のステップへと進みましょう。
在留資格の申請手続きについては、本国からの採用または日本国内からの採用では、申請方法が異なりますので確認が必要です。
また留学生アルバイトを採用する際は、在留資格申請は不要で資格外活動許可が必要となります。
特定技能の受け入れでは、登録支援機関を利用して外国人雇用のサポートを’受ける事も可能です。
就労開始してからは、「労働保険・社会保険への加入」と「外国人雇用状況届出」の手続きが必要となります。
なお、建築業界で外国人を雇用する際は、以下の注意点を確認しておきましょう。
日本語の書類を確認する際は、通訳を通して外国人に伝える必要があります。
公共工事を請け負っている会社は、新しく従業員として登録する必要があります。
在留カードを確認して、外国人本人の日本での活動内容をチェックしましょう。
不法滞在の外国人を雇用した場合、不法就労助長罪の罰則に該当します。
給与に関しては日本人と同等に支払う必要があります。
建築現場での事故防止のために外国人への安全衛生教育を行いましょう。
特定技能外国人の場合、建設キャリアアップシステム登録、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の入会、厚生労働省に『特定技能受入計画』の認定を受ける必要があります。
建築業で外国人雇用を成功させるには?
建築業界で外国人を雇用する際は、まずは就労する業務に適した在留資格を選びましょう。
在留資格「特定技能1号」は最長5年間働くことができて、その後「特定技能2号」に移行すると無期限での就労が可能となり、長期的に雇用を考えた場合に適した在留資格です。
また、日本にすでに住んでいる留学生の場合は、はじめは単純労働のアルバイトで採用して、現場作業に慣れてきたら、特定技能1号へ変更して建築業界の即戦力として働いてもらうルートも考えられます。
他には、建築分野の施工管理やCADオペレーター等の専門分野では、「技能・人文・国際ビザ」であれば、適任となる人材を確保することも可能です。
各在留資格の特徴や在留期間を基に、必要な人材を確保できるように準備しましょう。
まとめ
現在、建築業界では技能実習での受け入れが多くなっていますが、制度内容の見直し等が行われているため、代わって「特定技能」での雇用が主流となる傾向です。
特定技能1号から2号へ移行できれば、在留制限なく働くことができるため、要件等が合えば適任者を選ぶことも可能です。
弊社では、建築業界をはじめ各産業分野を対象に、外国人を雇用する際に必要な情報を提供しています!
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