配送業における人材不足の現状
日本国内における物流を担うトラックドライバーに関しては、経済産業省の「令和4年度産業経済研究委託事業(「物流の2024年問題」等に対応した物流効率化推進に関する調査研究)の調査報告書」を参照すると、1995年には98万人ほどの労働人口がありました。
しかし、2030年には51.9万人まで減少すると考えられています。
また、有効求人倍率は2倍を超えていることから、多くの事業者が求人を募ったとしても人が集まらないといった状況に陥ってるといえるでしょう。
業界内では、少子高齢化が進んでおり、 20代は15%以下、50代以上が 40%以上を占めるような状況になっています。
外国人ドライバー採用の必要性と期待される効果
外国人ドライバーが必要とされる理由は、大きく分けて3つの理由があります。
- 単純な労働力として短期的に人材を補充するのではなく、 長期的な目線から人材を育成するため
- 外国人労働者の年齢割合は20代が多い
- 今後も人口が増加する可能性が高いことから多様な働き方に対応しやすくなる
とくに、日本での採用では困りやすい 若年層の確保が可能になりやすい点は メリットだといえるでしょう。
仮に、日本語がある程度通じたうえで、永住者や定住者といった在留資格と普通免許を持つ外国人材であれば、小口配送や 宅急便があれば対応できます。
小口配送や宅急便に該当するのは以下のような業務です。
- EC サイトやネットスーパーの配送などの宅急便
- クリーニング品やリネン類の配送
- 給食や 弁当の配送を含む フードデリバリー
- 企業向けの書類や備品などの配送
とくに小口配送や宅急便に関しては、これまでの配送業における長距離や長時間労働といったデメリットが発生しにくいため、外国人が活躍しやすいといえるでしょう。
より詳しく運送業で外国人のどのように活躍できるか知りたい場合はこちらの記事から。
配送業における外国人ドライバーの採用に必要な企業の対応
ここでは、配送業における外国人ドライバーの採用に必要な企業の対応について解説していきます。
現状で外国人ドライバーとして働ける主な在留資格を知る
採用条件は 企業ごとに決めるとしても、採用できる外国人の在留資格は以下のようにある程度決まっています。
在留資格 | 就労条件 | 備考 |
永住者・定住者・日本人の配偶者 | 制限なし(日本人と同等) | 長期雇用可能 |
特定技能1号(運送業対象) | 一定の試験合格が必要 | 5年間の在留制限あり |
特定機能 1号の場合には、 日本語能力試験への合格と対応する分野での技能評価試験に合格する必要があります。
トラックの場合は、普通免許から大型など運ぶ荷物に合わせた免許の取得や切替も企業がサポートしなければなりません。
免許の取得・サポート制度を設計する
LTBのような人材会社や直接応募などによって、採用する外国人材が決まった後には、免許の取得や業務研修を行う必要があります。
免許に関しては 海外で取得している場合、日本の免許に切り替えなければなりません。
切り替えテストに関しては、国によって適正試験だけでなく、技能試験が必要となります。
そのため 、採用の段階で対象となる国々の扱いを確認しておきましょう。
また、取得している免許の種類が業務に合わない場合には、新たに免許を取得するサポートを行う必要があります。
そのため、費用面も合わせて計画しておくことが大切です。
免許の取得やサポートに関しては、 相談を行える部署や担当者をはじめから決めておきましょう。
社内体制を整えていなければ場合によっては、外国人を採用しても活躍するまでに時間が掛かることが予想されるためです。
業務研修のポイント
普通免許を取得している場合は不要となる可能性もあるものの、初めて取得したという場合には日本独自の交通ルールを教える必要もあります。
たとえば、一時停止の徹底や歩行者優先のルールなどは海外と異なるケースも予想されます。
実際に、免許を取得する場合に教えられるルールではあるものの、できれば動画学習や シュミレーターを活用できる環境を整えておくと スムーズな研修が可能となるでしょう。
配送に関しては、次の項目も学習が必要です。
- 配送エリア
- 顧客対応のマナー
- 荷物の積み込みや積み下ろしの手順、取り扱い方
たとえば、小型配送などでは、住所の切り替えを頻繁に行う必要があるため、アプリの使い方にも慣れていけるような研修や教育体制を構築しておくことが大切です。
まとめ
配送業界の人手不足が深刻化しています。
その上で 外国人ドライバーの採用が注目されており、 特に若年層の確保が可能な点は大きなメリットだといえるでしょう。
小口配送や宅急便では、外国人が活躍しやすいため、在留資格や免許取得のサポートを行いつつ、長期的な目線から環境作りを行うことが大切です。
LTBでは、「配送業で人材不足に悩んでいる」といった採用担当者さまのお悩み解決をサポートしています。
外国人の採用を考えたい場合や人材不足で困っているといった場合にはご相談ください。