外国人にわかりやすい日本語で伝えるポイント
外国人に日本語を教える場合は、以下のポイントを確認しましょう。
- 主語と目的語が省略しない
- 長文より短文で話す
- 遠回し、曖昧な言い方は避ける
- 敬語表現とタメ口を使い分ける
- オノマトペの使い方を覚える
- カタカナ語を使う
- 漢字は少しづつ覚えて行く
主語と目的語が省略しない
日本人が会話する際は、主語や述語、目的語を省略しても伝わりますが、日本語がまだ未熟な外国人にとっては、わかりづらくなる原因となります。
例)「今日の予定は?」
「あなたは今日、予定はどうなっていますか?」
このように、主語と述語を省略しない方が、外国人が理解しやすくなります。
最初は、丁寧に正しい日本語で伝えて、だんだん慣れてきたら省略した文章で話せるようにしていきましょう。
長文より短文で話す
会話が長文になると、外国人が理解しづらくなって、内容が伝わらない場合もあります。
例)「鈴木さんは今忙しいので、1時間後に来てください。」
「鈴木さんは今忙しいです。」
「1時間後に来てください。」
日本人にとっては、微妙な違いですが、外国人にとっては、長文よりも2つの短い文章に分けて伝えた方が理解しやすくなります。
遠回し、曖昧な言い方は避ける
日本語独特の曖昧な表現は、外国人が混乱する要因となります。
例)「結構です。」「いいです。」「そうですね。」「はい 大丈夫。」
などは【YES】or【NO】の判断がしづらい言葉になります。
日本人どうしでは、相手に不快な思いをさせないように、曖昧な答えで言葉を濁すのが習慣となっています。
また、その場の空気を呼んで内容を読み取る力ができるのは、日本人だからできることで、外国人には年数を超えないと難しくなります。
したがって、外国人に伝える場合は、できるだけ曖昧な表現を減らして端的に伝えるようにしましょう。
例えば「いいです。」については、【良いです】という意味の他に、断る時の【いいです。】という使い方もあり、外国人には混乱しやすい言葉となります。
その他にも、日本語には、複数の意味を持つ言葉や、状況に合わせた言い方、または、謙遜や控えめな表現として使う場合など、多様な表現方法があるため、外国人との会話の中では、なるべく端的に伝わる簡単な言葉で話すことを心がけると良いでしょう。
敬語表現とタメ口を使い分ける
日本語には、尊敬語や謙譲語などの敬語表現があるため、話す相手によって言葉を使い分けられるように指導する必要があります。
一方、友人や同僚と雑談をする場合は、タメ口の使い方も少しづつ理解できるようにしていきましょう。
外国人が最初に学ぶ日本語は、「〜ます」「〜です」という丁寧な言い方を覚えますが、タメ口で話せるようになると人間関係が柔和になって、社内でのコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。
オノマトペの使い方を覚える
「擬音語」や「擬態語」とも言われるオノマトペは、頻繁に使うと外国人が理解しづらくなるケースもあります。
ただし、擬音による言葉は、意味をイメージしやすい面白さもあるため、外国人にとって言葉を楽しみながら覚えられるメリットもあります。
オノマトペは、日本に限らず各国の表現がありますので、外国人の母国のオノマトペを逆に日本社員が教えてもらって、異文化交流するのも良いでしょう。
例)ハキハキ/バタバタしている/ツルツルしている/ドキドキ など
カタカナ語の難しさ
カタカナは、外来語を日本風にした言葉なので、外国人にとってはなかなかハードルの高い言葉となっています。
英語のわかる外国人にとっては、特にカタカナの習得は難しいと言われています。
例)コーヒー(カフェ)/エネルギー(エナジー)/ウイルス(ヴァイラス)などまた、単語を短く省略して、より理解しづらくなっている日本語もたくさんあります。
外国人との会話で短くした省略語を使う場合は、正しい言葉で説明しながら話すようにしましょう。
例)コンビニ(コンビニエンスストア)/パソコン(パーソナルコンピューター)/スーパー(スーパーマーケット)/スマホ(スマートフォン))/バイト(アルバイト)など
漢字は少しづつ覚えて行く
外国人にとって漢字は、形に馴染みがないため書きづらいことや、音読みと訓読みを覚える難しさや、同じ音で違う漢字があるなど、日本語学習の中でも習得に時間がかかる傾向があります。
日本人の子供は、画数が少ない漢字やよく使う簡単な漢字から学習しますが、外国人の場合は、日常生活や会社の業務上、良く使う漢字から覚え始める方が良いでしょう。
例)会社、仕事、病院、食べる、働く、休む、 など
日本語が上達する教え方のコツ
では、実際に外国人に日本語を教える方法について、気を付けるポイントを紹介していきます。
- ジェスチャーを交えて教える
- アウトプットできる機会をつくる
- 日本の習慣・文化も一緒に学ぶ
ジェスチャーを交えて教える
言葉を教えるときに、同時に動きもつけると、言葉+映像が残って効果的です。
例えば、「左右」を教える場合は、右手と左手を大きく動かしながら伝えます。
食べる、歩く、急ぐ、ゆっくり、などの動作は、それぞれわかりやすく動作を加えて教えると、外国人の目に印象が残って覚えやすくなるでしょう。
アウトプットできる機会をつくる
日本語を覚えるばかりで使わなければ上達は難しくなります。
インプットばかりでなくアウトプットできるように、外国人が日本語を練習できる時間を設けると良いでしょう。
例えば、外国人社員と日本人社員が質問役と回答役に分かれて、繰り返し日本語を練習するのも良いでしょう。
日本の習慣・文化も一緒に学ぶ
日本語を上達させるためには、日本の習慣・文化を理解するとより効果的です。
日本をより理解するために、歴史を学んだり、映画やアニメ、ゲームなど興味のあることに関連付けて日本語を学習していくのも良いでしょう。
また、日本食のメニューを覚えたり、日本の歌を覚えたりなど、遊び感覚で学ぶと覚えやすいということもあります。
まとめ
外国人社員への日本語指導については、難しい日本語をわかりやすく伝えるポイントを踏まえて、絵や写真、ジェスチャーで伝える工夫や、日本の習慣文化を理解しながら学んでいけるように、外国人が覚えた日本語を練習できる機会をたくさん作ってあげると良いでしょう。